ガワ

 人って人のこと、良く見てるよなって思う。僕はたぶん、輪郭ぐらいのぼやっとしたものしか見えていないのだろう。その人という概念と会話をしている。

 歯並びの話になって、悪いと気になるという話があったのだけれど、僕は全く覚えていないのだよね。誰が良くて誰が悪いとか、一度も見たことがない。幼い頃に歯の矯正の話を聞いた時にも、全く意味がわからなかった。なんで、そんなことがこの世に存在するのか、理解できなかった。芸能人とかが歯並びが綺麗ということも、指摘されて気付いた。それまで、全く認識したことがなかった。

 身長の話になった時も、背の順で並べられる学生の時分はまだしも、それ以降は全く認識していなくって、誰が高いとか誰が低いとか全くわからない。だから、学生や大人になってそういう話になると、ようやく、誰彼が大きいとか小さいとかわかる。そんなこと、気にしたことがないというのが正直な話だ。

 間違いなく、その不注意さは自分自身にさえも向かっていて。だから、衣装の良し悪しや顔の良し悪しもわからないし、気にもならない。自身の身体的特徴や美醜をコンプレックスに思ったことがないのも、そこから来ているのだろう。ある意味で、恵まれているのかもしれない。まあ、その無頓着さゆえに、面倒なことになったことも何度もあるのだろうが。

 人、人の外見を見過ぎでは? その情報から読み取れることって、そんなにないと思うんだけれどな。だからこそ、ガワを変えるだけで人気になるってことがあるんだろうが。僕にはよくわからない世界だ。