好きなゲームの傾向

 妻に、僕はいろんなゲームがやりたいタイプの人間であって、一つのゲームを極めようとしないよね、と言われた。確かにその通りだ。僕は探検家タイプのゲーマーであって、新しい要素に挑戦することを好む。全ての要素を理解してしまった後に、それを攻略したいとは思わないのだ。それゆえに、真剣にプレイするが、勝ち負け自体はどうでもよくて、新規の要素があるかどうかを問題としている。

 しかし、一方で、煩雑なゲームは苦手だ。僕の基本的な考えとして、必要十分であるとか、コスパがいいとか、そういうものに惹かれる性質があるのだ。物語も短編の方が好きになりやすいのも、そのせいだ。だから、雑多なルールを持っているゲームだと、それを理解するためのコストを払ってまで、面白いものなのだろうかと思ってしまう自分がいる。ゆえに、シンプルでシュッとしたゲームの方が好きだ。「コンコルディア」や「ツォルキン」が好きなのは、そのせいだ。手番にできることが少なく、見通しが良いゲームで、完成されていると感じる。

 また、VPPも好きだ。開幕の条件が変わることによって、過度なランダム性を排しながら、プレイごとに発見できることが変わってくるからだ。

 ゆえに、今のところ、僕がBGGで10点満点をつけているゲームは、「サイズ 大鎌戦役」の「フェンリス襲来」と、「ルート」の二つとなる。これらは、プレイ感がシンプルでありながらも、前者は拡張によって追加されるプレイヤー能力のバリエーションが、後者はもともとの派閥のプレイ感の違いがとても大きいため、大好きなゲームとなっていて、まだまだやりたいと思える。

 以上のことから、僕はきっと、基本的な要素はシンプルで、プレイ感もシュッとしているけれど、初期状態や序盤で選んだ能力によって、別ゲーと言えるほどにプレイやメカニズムが変わり、しかし、適度なインタラクションがあるようなゲームが一番好きなのだと思う。そんないいところどりのゲームが、この世に論理的に存在しうるのか、僕はまだわからないが、少なくとも理想はこうなようだ。昔から、そういう、洗練されているが外連味があるという矛盾した状態を理想とする傾向があるらしい。シナリオもシステムも。きっと、僕がこの世界をそれとは逆だと思っているからなのだろうな。この世界は雑多で、凡庸なものに満ちている。