アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである
「サイズ 大鎌戦役」の最終拡張、「フェンリス襲来」を最後までクリアしたのだが、とても面白く、特に最後のゲームはかなり盛り上がったように見えた。そこには、シンプルな追加ルールがあって、そのおかげで、各陣営のインタラクションは増え、プレイ時間も延び、とても素晴らしい働きをしていた。ああ、こういうものこそ、ルールであり、アイデアなのだと僕は思った。
「フェンリス襲来」のキャンペーンは全8話となっており、1話が1~2時間であることを考えれば、かなりの長丁場となる。その最後に持ってくるのだから、それにふさわしいゲームであるべきだと皆が考えるだろう。しかし、いくつかの問題がある。
一つは、最後であるが故にゲームを変質しすぎるルールは導入しづらいこと。一応は、キャンペーン全体の勝者が最後のゲームで決まることになっている以上、それにふさわしく、基本的なゲーム運びがある程度上手い人が勝者となる必要がある。ここで、ゲームが別物になりすぎるルールを投入するのは支持が得られない可能性が高い。
一つは、速攻戦術をある程度封じる必要があること。基本のゲームはある程度時間がかかるとはいえ、速攻戦術が存在する。最後のゲームだと言うのに、あっという間にゲームが終わってしまえば、不完全燃焼感が否めなくなるだろう。
一つは、各陣営が積極的に関わる必要があること。元々、戦争の必要がないゲームとは言え、各陣営間のインタラクションはかなり限られているゲームだ。個々が各々に閉じこもってしまえば、それは最終決戦にふさわしくない展開になってしまう可能性がある。
以上の問題を解決する実装が最終戦には施されているのだ。それは困難に思えるが、障害の要素を分解していき、それらに共通する要素を炙り出せば、最適なアイデアと言えるものにたどり着けるのだろう。こういったルールこそ、ゲームのルールなのだ。複雑に絡み合ったように思えるものを、簡単なルール一つで、一気に関わり合いを持たせることができる。そう言ったものに、僕は惹かれる。だから、それがかなり直接的に現れる、ボードゲームが好きなのだ。そう再認識した。