「テケン」の感想

 予想以上に良く出来ていたゲームで、割とハマっている。

 

 まず、ダイスドラフトなのだが、ダイスのピックに複数の意味があるのが良い。良いダイスと悪いダイスが割り振られ、そのバランスによって次の手番順が決まるようになっているのだ。これは面白く感じる。また、ダイスを取った後のアクションも、基本的には場所に対応した処理をするのだが、資源の獲得に使用することもできる。そのため、組み合わせの数が膨大になり、ベストなピックがわかりにくくなっており、面白く感じる。

 次に、各アクションが互いに程よく影響している点だ。6つのアクションがあるのだが、それぞれが他の1~2つのアクションに影響を与えることができるようにデザインされている。これが絶妙で、1つのアクションを連打するだけはできず、しかし、全てのアクションを考慮する必要はないという形になる。何かに特化するなら、1つか2つぐらいはほとんど考慮に入れなくてもプレイできる。それが情報量をある程度自分で制御できるので、難易度の調整に役立っている。

 また、神殿複合体というパズルも面白い。これは2つのアクションで使用する陣取りのようなもので、ボーナスや勝利点が得られるのだが、その取り方が工夫されていて、干渉はあり、たまに取り合いになるものの、基本的には潰し合うほどのインタラクションはないぐらいに調整されている。これによって、運の要素が絡むダイスドラフトながら、不快な思いをあまりしなくても良いようになっている。

 他のゲームにあるような特殊能力カードがあるのだが、使い切り/永続効果/ゲーム終了時の得点という枠組みが、それぞれ別にデザインされており、ここの枠で公開され、取得できるようになっている点が優れていると感じた。多くのゲームでは、これらを一手に束ねてしまい、同じ種類のカードの効果違いとして実装していることが多い。しかし、これらの本質は大きく異なるため、めくれ運による影響が大きくなる傾向にあった。これらをちゃんとジャンル別に分け、取得や効果発動にもルールを持たせることにより、バランスが取れるようになったと感じている。

 ゲーム終了時カードにおける得点の割合が結構大きいことと、それが最初に1つ手に入れられること、ダイスドラフトとその取得制限による運が大きいことから、ゲームごとの展開も大きく異なるようになっており、リプレイバリューもかなり高い。

 

 欠点としては、ゲーム終了時カードに強弱があるように思えるので、序盤に得られるカードが弱い場合、得点が5~10点ほど下がってしまう可能性があることや、ダイスドラフトなので、長時間のゲームのわりに、運に左右される側面があることが挙げられる。

 しかし、長期間の視点を持てないという特徴は、先々まで完全に読み切る必要はないということでもあり、すでに十分な情報量を持っていることから、運要素を弱めるのは逆に面白くない体験を生んでしまうだろう。

 また、ダイスの目のバランスを考えてピックするという要素はかなり面白く感じられ、次の手番順を決めるという弱い利益ではなく、もっとメインに置くやり方でも面白いと思われる。しかし、その場合には、中の処理をもっと軽くし、ダイスピックでパズルをするような、中量級のゲームに仕上げるのが良いと思われる。「テケン」ぐらいの重量級ゲームの場合、これ以上、ダイスピックの縛りを増やすと、自由度が極端に下がり、面白くないゲームとなっていただろう。

 

 総じて、とても良くデザインされているゲームだと感じた。自分の手番でやること自体は、ダイスを1つピックするだけで例外もなく、拡大再生産もしないので、時間がだらだらと伸びることもない。この辺も好みだった。

 そこまで強い理由を持って買ったゲームではなかったが、「西フランク王国の聖騎士」に次ぐ気に入ったゲームとなった。