「パンデミック:クトゥルフの呼び声」の感想

 基本的にはクトゥルフパンデミック版という印象。基本が面白いので、普通に面白い。違いとしては、以下の点が挙げられる。

 

 まずは、キャラクターの差異が大きくなっている。能力は本家と同じものが多いのだが、正気状態の他に狂気状態というものがあって、それが制限あり、別の特殊能力ありなので、本家とは違う。その二つを区別するものとして、正気度があり、それがクトゥルフらしさを持ったプレイヤーの実質的なHPとなっている。管理するべきリソースが増えているのだ。また、狂気状態での制限は、まさに奇行と呼ぶものに近いものもあって、クトゥルフ感があって好きだ。

 手がかりカードとなっている場所に関するカードは、少し条件が緩和されていて、本家で言うところのアジア、アメリカぐらいのくくりでやる形に変わっている。個人的にはこちらの方が好みだ。本家はあまりにもシビアで、条件を緩和する職業がないと取引が成立しにくいことが多かった。

 最大の違いは、オールド・ワンのカードで、本家におけるパンデミック的なことが起こると、オールド・ワンが一体ずつ、公開されていくルールとなっている。そのため、次第に状況が厳しくなっていくことが表現されている。また、「パンデミック」におけるある種の単調さを軽減させ、リプレイ性が上がっているように思える。

 また、スペシャルアクションカードは遺物となって、その能力のバリエーションは増え、デメリットもあるようになった。そのため、使いどころはより考える必要があるようになっている。

 

 基本的に少人数、あるいは繰り返しやるならば、本家よりも面白いと思う。しかし、欠点もある。オールド・ワンの強弱にかなり差があるが、本当にランダムなので、何がどの順でめくれるかで、展開が大きく変わり過ぎてしまっている。おそらく、このシステムのせいで、多くのオールド・ワンの能力が弱められているように感じる。ビッグネームが多いので、ある程度のランク分けなどをして、強いやつは強い能力であって欲しかったとも思う。(難易度調整や、次第に強い旧支配者が覚醒するようになるなど)また、本家と同じように、奉公問題の解決はないので、プレイヤーを選ぶという要素は変わっていない。どうしても、3~4人でプレイすると、1~2人は暇そうにしているという状況になりやすく、これはもはや協力型ゲームの風物詩のようになってしまっている。本当は回避しなくてはいけないのだが、有効な対策が少なく、デメリットも強いため、放置しているゲームも多いのだ。このゲームもその例に漏れない。

 

 思った以上によくできていたので、「パンデミック:レガシー」が楽しみになった。