「西フランク王国の聖騎士」の感想

 「西フランク王国の聖騎士」をプレイした。かなり面白かったので、感想を。

 

 まず、このゲームは独特のワーカープレイスメントをやる。ワーカープレイスメントなのだが、肝心のプレイスがほとんどプレイヤー固有である。つまり、本来のワーカープレイスメントにある、アクションの取り合いという側面はほとんどないと言ってもよい。ならば、何をするかというと、パズルに近いことをやる。「オルレアン」や「アルティプラーノ」のようなアクションプロットが一番近いだろう。アクションごとに必要なワーカーの色と数が指定されているので、それに従ってワーカーを使用することで、アクションを行っていく。これの何が面白いかというと、ただ数字や勝利点が上下するだけではなく、これによってワーカーが得られるところが面白い。プレイスは埋まっていくし、ワーカーの数も減っていくのだが、ワーカーが得られたり、色を変えたりできる箇所があるので、それを自分で組み合わせて、なるべく多くのアクションをしたりできるのだ。これが面白い。他者に邪魔されることはほとんどないから、安心して悩める。

 一方で、インタラクションもある。後半に登場する共通のアクションはかなり強いので取り合いになるし、アクションの結果得られるボーナスは各種で早取りになっている。これにより、自分の都合ではAを優先した方が良いのだが、相手にとられることを考えるとBを優先したいといったアクション順の駆け引きがあったりして面白い。邪魔にはならないが、悩ましいぐらいにはインタラクションがあるのだ。

 次に、能力がシンプルでわかりやすい。「テラフォーミング・マーズ」のようなカードゲームは応じて能力が複雑になりがちで、各プレイヤーがその文章を読む時間が発生することが多いが、このゲームはカードの数こそ多いものの、能力はシンプルであり、アイコンですぐに判別がつく程度のものしかない。だから、ダウンタイムは発生しにくいが、そのカードの捲れ具合によって、ゲームは変化する。ちょうど良いと思う。

 また、各アクションの処理も軽い。適度にランダム性もあるから、考えきれない部分があって、要素が多すぎないようにしているし、基本は数値を上げて、ボーナスをもらって、ということか、リソースをもらうか、ぐらいしかないので、盤面から想像するよりもプレイ感は軽い。しかし、その軽いアクションを上手く連続でできた時の満足感は結構ある。

 

 総じて、「アルティプラーノ」系のパズル・ソロよりのゲームでありながら、早取りがいろいろとあるため、インタラクションもありつつ、セットアップのランダム性もあるからリプレイ性もあるといいとこどりのゲームとなっている。

 

 しかし、欠点もある。

 まずは、個人ボードが大きく、カードも大量に使用するため、テーブルの占有率が高く、2人プレイでもテーブルいっぱいという状況になってしまう。

 また、要素が多いため、パラディンカードや勝利点目標といったわかりやすいガイドは存在するが、比較的解析麻痺が発生しやすいと思える。

 さらに、一部のコンポーネントが少し見にくく、建物コマを置いた状態では、追加コストが見えにくいというUIになってしまっている。ここは改善の余地があると思う。

 

 ただ、最近、1万円前後のボードゲームも珍しくない中で、5000円台で購入できるし、普通にかなり面白いので、オススメだ。ただし、ベスト人数は2人プラスマイナス1人ぐらいだとは思うので、4人以上集まるというグループにはオススメできないかもしれない。

 ボードゲームをやる前は、パズル系のゲームは苦手だと思っていた節があるのだが、やってみるとなかなかどうして面白い。デジタルのパズルはそこまで好きではないので、実際に手を動かして、カチャカチャと駒を置いて行って、上手くアクションが繋がっていくのが面白いのかもしれない。