「西フランク王国の建築家」の感想

 ワーカープレイスメントのゲームなのだが、少し変わったシステムを導入している。

 まず、手番ごとに1ワーカーを置いていくのは普通なのだが、プレイスに占有がない。誰かが置いていようが、自分が置いていようが、そのプレイスに置くことができる。むしろ、ワーカーを重ねて置くごとに、その結果が強くなっていく。1つ目を置けば1の出力、2つ目を2の出力というように、どんどんと強くなる。

 ただ、それをやり過ぎると、他のプレイヤーがその場所のワーカーを全て拘束してしまう動機を作ってしまう。このゲームでは、プレイヤーは他のプレイヤーのワーカーを捕縛し、金を得ることができるようになっているのだ。そうやって牢獄にぶち込まれた自分のワーカーを解放することによって、再利用できるようになる。そういう変わったシステムをしている。

 しかし、このジレンマはシンプルに出来上がっていて、ワーカーは一か所に固めた方が強いが、重ねすぎると他のプレイヤーから咎められるというものだ。それ自体は、直接攻撃に近いのだが、結果として、自分のワーカーが再利用できることもあり、悪い印象が抱きにくくなっている。

 また、ワーカープレイスメントにありがちな、占有の問題を解決している。早取りというジレンマではなくしているのだ。早取りのジレンマは結構問題をはらんでいて、大きなところとしては、重要なプレイスを占有されてしまうと、やりようがなくなってしまうという問題だ。同じアクションができるプレイスを用意するとか、模倣のアクションを用意するとか、万能の資源を用意するとか、上位ワーカーを用意するとか、そういう方法で一般的には解決する。しかし、そもそも占有がなければ、この問題は発生しない、というわけだ。早取りだけが、ワーカープレイスメントのジレンマではないのだ。

 勝利点の稼ぎ方が限られているから、初プレイでも何をするかの指標が立てやすい。逆転の目がないとわかりやすいというデメリットもあるが、メリットが大きいと感じた。

 こういった要素が、それぞれ軽妙なプレイ感に繋がっていて、万人に受けが良さそうだが、特徴のある、とても良いゲームに仕上がっている。