「ニューヨークズー」の感想

 パズルゲームと動物繁殖を組み合わせた、全く新しいゲーム……ってウヴェの好きなものを混ぜただけじゃん! ってなってしまうゲームなのだが、これがどうして面白かった。

 まず、動物繁殖というルールは、ボードゲームにかなり向いている。自然界の法則なので、理解がしやすいし、その条件を満たそうとプレイヤーが努力する。そして、なにより、人間は労力なしに得られる利益が大好きなのだ。条件を満たしていれば、動物は自然繁殖して、利益を生む。最高だね。そして、その条件を満たすために労力を払い、その条件が満たされないことを悔やみ、またプレイしたくなる。そういうものになっている。また、この条件がゲームにおける小目的としても機能している。

 次に、パズルと動物の獲得という選択肢を用意したことで、ゲームが一本道になりにくい。「パッチワーク」のようなパズルだけのゲームでは、どのピースを獲得するかという点にだけ、焦点が置かれがちだが、動物という別軸があるおかげで、このゲームはそうなっていない。

 最後に、繁殖とは別に、ピースに動物を埋めることで手に入るボーナスタイルの仕様が良い。1番と2番目に大きいタイルは特別に大きくて、他は隙間を埋めるようなタイルとなっている。これを、ボーナスを取った人が選べる。つまり、早取りのボーナスと、パズルでは埋まり切れなかったものをカバーするもの、という二つの機能を一つのルールに埋め込んでいるのだ。脱帽である。

 彼のキャリアで手に入れたものが存分に詰め込まれたゲームとなっている。軽中量級と侮るなかれ。とても良いゲームに仕上がっており、夢中でプレイできること請け合いだ。