運転に関して

 自動車を運転している時間が嫌いだ。他のことが出来ず、中途半端に集中力が奪われるということもあるが、一番は魔が差すのが怖いからだ。

 ふと、どうでもよくなる瞬間というものがある。いつだってそういう時間は訪れるし、阻止することは出来ない。ただ、全てがどうでもよくなって、どうして僕はまだ生きているのか、動いているのか、どうせ死んでしまうのだから、それらに意味はなく、今すぐ死ぬべきだという思いに取り憑かれてしまう。こういう時、普通ならば何もしたくなくなり、その場で呆然としているか、寝てしまうか、と言った状態になるが、車の運転中にそれが顔を覗かせると戦慄する。そのまま、猛スピードで対向車にぶつかれば死ねるなとか、どうせ何も意味はないのだから、その辺を歩いている集団に突っ込んでみるか、といった発想が思い浮かんでしまう。たぶん、僕はそれをするだけの勇気はなくて、そんなくだらないことをするより、家に帰ってゲームでもしようと思えるだけの正常な思考を持っている。が、それは正常な状態の話であって、常にそうであるわけではない。それを実行できてしまう状態にあるのが困るのだ。

 車、早く全自動運転にならないかな……