理想の生活に関して

 移動中の暇な時間に、理想の生活を考えてみた。この間、考えた時は現実に起こりえるものに限定していたから何も思い浮かばなかった。だから、次は現実にあり得なくとも、どういうものが理想かを考えることにしたのだ。

 僕は、朝起きるたびに、別の世界へ放り込まれるような生活がしたいのだと気付いた。

 朝起きると、そこは西部劇の世界だ。銃の腕がものをいうような場所。開拓精神あふれる町民や、異邦の者が跋扈し、畜力が貴重な時代だ。それをどうにか乗り切る。こういうものなのか、と理解する。すると、次の日にはSSTが始まっている。どうやら、この謎の部屋に閉じ込められた人は一見してランダムなようだ。無茶と思われるような指令が下るたびに、命を懸けたような選択を下さなければならなくなる。次の日にはサイバーパンクの世界にいる。どれだけ人間を捨てられるかが明日への生存率を分けるような世界。次の日には日常的な学園始まる。

 そんな感じで、未知の状況に追い込まれて、それを理解したら、あるいはその前には別のところに移っていて欲しい。現実にやろうとするならば、別の国で別の職種につくことを繰り返すような日々になるのだろうか。

 僕はもうすでに理解できて、興味が失せているのに、どうせ死んでしまうことが分かっている日々を繰り返すことに飽き飽きしている。そんなことをしても、何もなりはしないし、面白みもない。ならばせめて、少しでも面白く。そのためには、未知の世界が延々と広がっている必要がある。そんな風に僕は思うのだけれど、世間の人々も同じように実は思っているのではないだろうか。くっそつまらない日常を繰り返しているのは、社会的な要請のせいで、それに従わなければ、家族やらの大事なものが失われてしまうからに違いない。