物語の一節

 なんか、スター・ウォーズなりマトリックスなりで、結局は一作目が至高であって、それ以外は蛇足というような意見を見た。サーガという風に風呂敷を広げているだけで、無駄だというのだ。確かに僕もスター・ウォーズならEP4が、マトリックスなら無印が一番面白いと思うけれど、それ以降を蛇足というのは違うと思った。なぜなら、これらの作品は元々大作の一節として生み出されたものだからだ。

 これは漫画の一話やラノベの一巻を考えて見ればいいだろう。それだけで完成度を高めていて、そこで終わってしまっても、最悪、良いぐらいの完成度にはしている。けれど、それは次作を続けていくがためのいわば手段であり、そこで完結しているわけではないのだ。

 例えば、「インセプション」のような単発の作品を考えてみる。こう言った作品は、基本的に要素を全て使い尽くしていて、その世界観や設定、人物を無理やり広げることはできても、物語としては終わってしまっている。もちろん、ジュマンジシリーズのように、そこから続編が生まれる例は山のようにある。しかし、サーガの一作目とは根本が違うものなのだ。千の貌を持つ英雄を読めばわかるように、ルークだけを見ても、EP4~6は元々セットとして生まれているのだ。

 だから、個人的な感想として、EP4が一番いいということ自体はわかる。理解出来るし、賛成もできる。しかし、それだけで完成しているというのは間違っている。ダース・ベイダーも帝国も終わっていないし、むしろ、その単品としての評価なら、使っていない要素があまりにも多すぎるのだから、評価は格段に下がってしまう。あくまで、三部作の一作目として、出来がいいという話なのだ。それをどうして、理解せずに、曲解してしまうのか。事実を見るべきだ。