研究

 科学史の本を読んでいて、近代頃の研究者たちに強い憧れを感じた。そうか、僕はこういった生活を送りたくて、なんとなく、科学者になりたい、と思っていたのだった。

 人里離れた場所で、コツコツと一人で思索や実験に励み、時々、成果を発表し、その研究の良し悪しがわかる。そういったことを繰り返して、自身の研究を進めていく。そういうことをしたいのだな、と思った。どういうわけかわからないが、幼少の頃からそういったことに憧れていた。

 現代の研究者というのは、そういった形ではない(一部例外はあるが)。大きな実験装置や測定器具が必要になるし、人員も予算もかかる。大学を超えて研究グループがあるのは当たり前だし、その中で上手いこと実験テーマを見つけて、研究を進めていく。そういったものに全く憧れなかったため、大学に入ってから研究者になろう、と思ったことは一度もなかった。むしろ、なるべく早く、退散したいと思ったものだ。

 ゲームに関して、ちまちまと思考を繰り返しているのは、そういった面が大きいのではないか、と思う。考えたことや、感想を定期的に挙げているのは、それを研究の材料にしたい・材料にして研究を進めて欲しい、という気持ちがあるからだし、自身もそういうつもりで感想を読んでいる。

 やはり、研究なんだよな。ゲームをやること自体が。ゲームの研究というのは、全然進んでいないし、全く体系化されていないので、その、近代の研究みたいなものが通用するかも、という淡い期待を無意識化に持って、研究に取り組んでいるのかもしれない。そして、どんどん独自研究になっていく。