目的と結果

 作品を創ろうという時、なるべく、少しでも面白くなるように心血を注ぐ。しかし、客の方を見ているかと言えば、全然そうではない気がして、それはどうしてなんだろう、と思っていた。

 僕が興味を持っているのは、エンターテイメントであり、それの真の姿、その機能こそが受け手の満足であるため、作品の真意を研ぎ澄まそうとすると、結果的に受け手にとって面白いものになっているはずなのだ。つまり、因果がそうなっている。

 客が笑顔になるように、満足してもらえるように、と作品を創っている人と因果が逆なのだ。良い作品を創りたい。良い作品を創ったからには客はそうなるはずだ、という順序なのだ。たとえば、僕が凶器を創ることに情熱を向けているのならば、それはどれだけ人を害することができたかで、その出来を判断するだろう。それが娯楽作品だからこそ、人を楽しませることができかで、出来を判断しているのだ。

 この因果が逆の人、あるいは別のところに目的がある人とはあまり話が噛み合わない、ということがだんだんはっきりとしてきている。