反懐古

 懐古的な考えが、全然ないな、と思った。もちろん、過去を全否定しているわけではなくて、それはそれなりの良さがあるし、たとえば、自分の人生を考えても、学生時代は働かなくてよかったので好きだな、とか、そういう部分的なことはあるけれど、トータルでは常に現代が最高、という考えになっている。自分の人生を顧みても、あの時に戻りたい、と思ったことは一瞬たりともない。現代が常に最高である。

 郷愁のようなものもほとんどなくて、土地に対する愛着も全然ない。家族に対して、特に思うところはないのもここに端を発しているような気がする。

 

 たぶん、これは元来のもので、生後に習得したものではないのだろうけれど、これに加え、科学主義的な思考によって、その考えが強化されている。科学は、それ自身だけを考えるのならば、時間の経過によって、絶対に真実に近づき、より良くなるものである。データが蓄積し、アイデアが増えていく。そういうものが思考の基盤にあるので、悪くなっていく、とは基本的に考えないのであろう。

 

 周りを見ていると、割とそんなこともないのかな、という気がする。何かが前よりも悪くなったと考える人がそれなりにいる感じだ。どっちの考え方の方が平穏に暮らせるんだろうな。