テンポの良し悪し

 ちょっとした理由があり、今更ながらに「シンドラーのリスト」を観た。流石に、この時期のスピルバーグ監督の才能が冴えわたっていて、面白かったのだが、一方で、冗長なシーンも結構あった。なにせ、3時間の映画だ。しかし、だからといって、それらのシーンをカットして、テンポが良ければより傑作になったのか、と問われると、そうではない、とも感じた。

 それは、映画のジャンルというか、空気感によって、求められるテンポ感が異なると感じられるためだ。本作は歴史的な悲劇であって、重みがあり、脚色されているとは言え、実際の事件に基づいたものだ。このような場合、モノクロで撮られているということもあり、現実の過去に起こったことなのだ、ということを強調したい。遅いテンポはそのために存在していると感じた。もちろん、映画である以上は、劇的な展開が起こるのだが、それがテンポよく、次々と発生するという感じではなく、人物の心象描写なども合わせて、ゆっくりと行われるために劇的という印象が抑えられ、重厚感が増している。「アメリカンスナイパー」を観た時も思ったが、現実に基づいている場合には、これぐらいのテンポが求められているのかもしれない。

 「シンドラーのリスト」を観た感想としては、DaiGoがこの映画を観てないのは間違いないなーという感じでした(時事ネタ)