「忍者と極道」は確かに超一流

 「忍者と極道」の展開が超一流だという話があり、たぶん、料理漫画か何かのコマで『超一流とは客が予想だにしていないものを持ってくる。しかし、それを食した瞬間、求めていたものはこれだ、どうして、これが思いつかなかったのか、と思う』といったような内容の画像が貼られていたのだけれど、まさにこれだな、と思った。

 よく『創作は客が望んだものをただ出すだけでいいのか』みたいな論争が定期的に発生するが、答えはここにあるな、と思った。というのも、ほとんどの客は自身が望むものを正確に判断できていないのだ。それは普段の生活におけるほとんどの人類と同じだろう。問題だと感じている部分があっても、その原因は別であることも多い(クリティカルヒットの演出がしょっぱいと、クリティカル率が低いと文句を言ってしまうような)ことは明らかだ。だから、客が本当に望んでいるけれど、予想していないものを引き出せる人こそ、超一流だ、というのは理に適っていると感じた。もちろん、客が望んでいないことをし始める奴よりは、要望を忠実にこなしてくれる作者の方が良いわけだけれど。

 結局、あらゆるジャンルにおけるエンターテイメント作品というのは、客の満足が最終的に求められるので、基本的には客本位であり、客へのホスピタリティが求められることになる。しかし、それはただ、要望をこなしていくだけではない、ということなのだろう。もちろん、自分の創りたいものを、そして、それが客に対しても絶対に面白いものだ、という信念に基づいて、延々と創作する人間も山のようにいるが、そういった形で成功する人は、本当に限られた天才だけであって、そのごく一部を除く人は、客が、人類が、自分が、何を求めているのかを延々を探るしかないなーと思った。