捻りと終着点

 「進撃の巨人」が完結した。一応、初期から読んでいたのだけれど、マーレ編に入ったあたりで、これ、一気に読まないと設定忘れる奴だなと思って放置していたので、残りを一気に読んだ。綺麗にまとまって終わったと思う。

 しかし、ベルトルトの正体が明かされ、ライナーが裏主人公になった時に感じた、あの、これから先、僕たちは、未知の新しい物語を読むことができるかもしれない、という強い高揚感に値するような作品にはなれなかったように思える。

 「ファイアパンチ」の2巻を読んだ時も思ったのだけれど、その、未知への高揚と言えばいいのか、あの、何かとんでもないことが始まるようだ、という予感があるだろう。それがとてつもない面白さに繋がっていると感じられるのに、結局は既存の観たことのある構造になってしまうから、少し興ざめしてしまうというか、神童が結局はいいところどまりの大人になってしまったような、そんながっかりとした感覚がある。これは、「チェンソーマン」の銃の悪魔らへんにも感じたものであって、最終回では、がっかりしたのと同じだ。「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」もめちゃくちゃ好きなんだけれど、でも、一番テンションが上がったのは、初見の時の、皆殺しのレヴューで、あの時感じた、あのキラめきであって、それを超えるような全体の完成度だったか、というと疑念がある。

 結局、物語的なテンプレートというのは細かく決まっていて、本当に面白いと感じられる範囲というのは驚くほどに狭い。個性的な展開を繰り返して、とてつもないエンディングにたどり着くことが無理とは言えないが、あまりにも神業すぎて、普通の人間ができるようなことではない。だから、未知と感じるようなキラめく何かがあったとしても、結局は、似たようなところに着地してしまう。その既視感に、心底飽き飽きしているし、そこにしかたどり着けないのか、というような絶望感を抱いているのだと思う。

 とはいえ、変な着地をしようとして失敗する数多の作品より全然、面白いのは間違いないし、実力のある作者ほど、未知の構造がどれだけ難しいのかわかっているので、無難だと言われてもちゃんと着地させる。それに、少しがっかりした、なんて言うのは、受け手の傲慢な、強欲な発言であることは十分に理解している。……でも、少しだけ観たい気持ちがないか? あの勢いの、あの捻りの、あの未知のままに、しっかりと着地する物語が。