「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の未見性

 昨日の記事を読み返していて考え直したのだけれど、やっぱり、「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」はあの未知のキラめきに半分足突っ込んでるわ。だから、すごい良かったと感じたのだと思うのだよね。ふたかおとか、真矢クロとか、その辺は既視感があったし、純那ななもアニメ版でできなかったこと(まあ、これは真矢クロも含むが)をやったという感じがあったから、既存の構造みたいなことを昨日は言ったけれど、その後の華恋とひかりの対峙からエンディングまでは半分以上、未見の領域だった。

 だって、あのシークエンス、この映画のコアであって、完全な主題なのに、時間にしたら10分ぐらいしかないんじゃないの? めちゃくちゃ短い。なのに、全てを表現しきっている。BS2で言うところの、ミッド・ポイント(偽りの頂点)→すべてを失って(死の恐怖)→第二ターニングポイント(復活)まで一気にやってるじゃん。しかも、2回ぐらい繰り返している(ロケットで舞台に戻る後に、ひかりに刺されてから最後のセリフ、というところまであるので)。あれは、すごい。すごすぎる。それを、説得力あるものにしているのがすごい。それは細かい積み重ねだったり、モチーフやオマージュを混ぜた情報量の密度だったり、色んな要因があるのだろうけれど。この構成だけで、この映画を語り継ぐ意味があるよ。それぐらい、すごい10分間だ。

 というか、やっぱり、構成がすごいよな。レビュースタァライトの劇場版というかなり制限がキツい中で、むしろ、だからこそ、というべきなんだけれど、こんなに単純でありながら、捻りの利いた構成になんて、普通はできないでしょ。まさに、ワイルドスクリーンバロック。しかも、これを主題にしているってことは自覚的というわけであって、余計にすごい。

 いくらか否定的な意見も聞いたし、そう思っている人と話もしたけれど、どちらかというと、そういう人は色々と読み切れていないという印象だ。

 減点式にすればいくらでも減点できそうだし、僕はそういう観方ばかりする人間なんだけれど、それを捻じ曲げてしまうぐらいにはすごい作品だった。