知識と面白さ

 「輪るピングドラム」は、妻も観たいというので、今観ている「ACCA13区監察課」が終わったら観る予定だ。その間に(一人で)観るものとして、「新世界より」を選び、観終えたのだが、どうにも微妙だった。同作者の「クリムゾンの迷宮」も名作と名高いが、個人的には微妙だったので、作者との好みが一致していない可能性がある。特に、物語構造や世界設定が、僕にとってかなりイマイチというか、ピンと来ない構成を少なくともこの2作では取っているので、相性という可能性は高いだろう。

 特に「新世界より」で気になるのは、その生物学的根拠である。もちろん、呪力などというこの世界には存在しないものを取り入れているので、いくらでも言い訳は効くのだが、それにしてもと思うことが多かった。たとえば、「ダンジョン飯」や「MONUMENT」などは、ファンタジーで魔法があるのに、その生態に説得力があるだろう。その真逆に感じる。物語構造があり、その障害としての生物であり、生物学的見地や理屈に基づいているとは到底思えないのだ。「MONUMENT」などは、この世界と共通点が多いものの、特別な力があるという点は一致しているものの、まあ、流石に大傑作の「MONUMENT」と比べるのは相手が悪いとは言え、出来の悪さが顕著に目立ってしまう。疎い人は気付かないのかな。

 別にこれは嫌味でも何でもなく、誰だって、たとえば、中世の日本を舞台にしているのに、(そして、それが歴史パラレルものとしても)あまりにも現実とかけ離れた描写がされていれば、文句の一つはいいたくなるだろう。それによって、話を楽しめないということは容易に想像できる。そういうことなのだ。別に細かいところをツッコミたいわけではなくて、生物の大原則を大きく逸脱していたり、生半可な知識だけで適当な設定を持ち出していることがわかるから、それぐらいの取材度なんだな、と思い、テンションが下がってしまうというだけで。

 なんか良くないよな。まあ、「新世界より」の場合は、単純に物語の出来が良くないので、それがクリアできれていれば、誤謬はあるが面白いとなるのだろうが。世界や物語を面白くするために、知識を仕入れているはずなのに、それによって面白さが低減するのなら、白痴であるべきなのかもしれない。