時代性と主観性、完成度

 「Re:ゼロ」のアニメ、ながら観だけれど、頑張ってみていたのだが、もう限界だ。つらい。本当に面白くない。せめて、現在、主流になっている作品ぐらいはと思っているのだけれど、本当にきついのだよね。「無職転生」も漫画を途中で読むのやめたんだけれど、アニメだと飛ばし読みに相当することができなくて、もっとつらくてもうやめてしまった。杉田さんのナレーションで、ギャグっぽくなってキモさが緩和されているとは思うのだが、それを加味しても、普通にきつい。

 ただ、まあ、この辺は最近のいわゆる無双もの(の中でも文脈から少し外れていて、一応は主人公が苦悩するために比較的大衆に受けやすいもの)であって、僕の苦手なものだから、というのはあって、おそらく、子供の時に観ていたとしても、つまらないと感じるはずだ。けれど、他の作品はどうなのだろうか、とは思った。

 「弱キャラ友崎くん」なんかはラノベで話題になっている時に、4巻前後ぐらいまで読んで、結局きつくて売ってしまった(というか、前述の作品も、全部アニメ化前に売ってるな。もったいないことをした)のだけれど、これは、もし、時代が異なれば、もう少しウケたのだろうな、とは思った。アニメがどれぐらい話題になっているかはわからないのだけれど、いわゆる俺ガイルのフォロワーであって、そこにちょっとした工夫をしているだけ、という作品だ。正直、俺ガイルですら連載中に議題が賞味期限切れを起こしてしまって、(これは本当に連載が長かったのが悪い)つまらなくなってしまったので、まあ、この友崎くんも、明らかに周回遅れなのだが、もう少し、早く出ていれば、もうちょっとウケたのだろうな、とも思う。

 他にも、ラノベ全盛期に出ていた作品たちは、その多くが時代に恵まれていただけであって、今出てしまうと、その構造やテーマが古くなかったとしても、話題になることはないだろうな、と思う。(もちろん、「MONUMENT」や「All You Need Is Kill」のような不朽の名作もある)

 そして、もし、時代が合っていたとしても、今の僕が読んだら、正直、ここまで面白いとは思わなかったし、読み続けてもいなかった作品の方が多かっただろう。

 今読み返しても過去の作品は、面白いな、と思うけれど、過去に接して、その記憶がよみがえるから面白いのであって、正直、今の感性で読んだら、微妙と思う作品の方が多いはずだ。

 

 つまり、作品には、時代性や主観性によらない完成度、というものもあるけれど、環境的な時流に加え、読者がどういった時代に生きた人間であり、どれぐらいの年齢で、どのような経験をしてきたか、によって、その評価が変わってしまうだろう、と常々思うということだ。

 だから、創作の際は、今の流行りを研究し、ターゲットとなる消費者を決定し、それはそれとして、作品自身の完成度を高めろ、と言われるわけだ。最後だけのレベルが高ければ、もうそれだけで傑作となるのは間違いないのだが、多くの創作者はそこまでの技量がないので、前者2つを意識する必要があるのだろう。そして、消費者たちは、それを加味した評価を付け、それは時代が本当は変わっているのに、最初に接した時の印象に引っ張られた評価をしてしまうのだ。

 自分にとって良作が、時代性を抜きにした時、凡作に成り下がってしまうのは、少し寂しくはある。また、結局、バイアスが抜けきれない自分に対しての、虚しさもある。そういうことを自覚しつつ、評価していくしかないのだろう。そして、それらの時代性や主観性はなるべく脇に置いておいて、それ以外の完成度を見抜くようにしていきたい。あ、前述の三作品は、少なくとも、僕が観たり読んだりした範囲では、完成度は凡です。間違いなく。