漫画とアニメの距離

 漫画原作のアニメは、よほどのことがないと面白くないな、と常々思う。というのは、アニメは映画には近い媒体だが、漫画とは程遠い媒体だと考えているためだ。

 漫画は自分でページをめくるし、文字も音声というよりは情報として読み取る。コマ割りも画像として見られることを意識した技術だ。

 アニメは違う。

 それなのに、日本には原作重視の風潮があるためか、漫画と同じセリフ、同じ画面、そういうのに拘ってしまっている。だから、テンポがクソみたいになるし、絵面がマヌケでつまらない。間を埋めるように映像化したり、戦闘を豪華にするぐらいでは、面白くない。根幹的な表現が全然異なるのだ。

 だから、アニメオリジナルだったり、小説だったり、ラノベだったり、ノベルゲーだったりする方が、よほど面白くなりうる。アニメを前提として、アニメ作品を作れるからだ。漫画原作でも面白いアニメは、こう言っては何だが、漫画が面白くないのだ。漫画として、レベルが低いから、アニメにしても面白い。漫画に最適化され、面白い作品だったのなら、そのままアニメ化すれば、必ず、劣化する。

 そんなのは、誰しもがわかっているし、クリエーターの人なら余計にそうだと思うのだが、どうして、漫画をそのまま映像化したようなアニメばかりになってしまうのか。視聴者にそれを望んでいる人がいるのかな。どうせ、原作そのものにはならないのだから、アニメとして、新しく生まれ変わった方が、みんな幸せだと思うのだが。