数十時間の物語

 薄々わかってはいたのだが、連続ドラマやアニメシリーズと言った形態が基本的に苦手なのではないかと思ってきた。連載漫画も入れてもよい。基本的に、これらは冗長なのだ。あれだけの長さがないと伝えきれない物語があるとは思えない。映画の尺であるとか、読み切り漫画の尺であるとか、これぐらいの長さが限界なのではないかと。

 あるいは、MCUのように、一つの区切りがかなり強い形でシリーズとする、という形態がギリギリありかな、と思う。

 漫画本が数十巻とある漫画、その全ての巻、全ての話が物語において必須だと思えるような作品が、この世に存在するだろうか。あるなら教えて欲しい。連続ドラマやアニメで、全ての話が本当に必要だったと言える作品があるだろうか。僕は見たことがない。本当に好きな作品ですら、レベルが高いと思う作品ですら、1話は削減できただろうな、と思ってしまう。

 物語は理屈付けだ。理由がないものは物語として成立しない。成立しないものは真剣に観る必要がないし、面白くない。全てに理由を持たせられるだけの複雑性はなかなか存在しない。そんなに複雑な物語はそう多くないのだ。世の中に存在する物語は、その多くが簡単すぎる。もっと複雑になるべきだ。情報を秘匿したり、展開を捩じったりするだけで、複雑に見せている作品が多い。

 退屈なんだよ、簡単な物語は。