漫画の実写化

 漫画の実写化映画を観た。原作を基本に物語を映画用に再構成しているのは良いと思ったが、やはり、どうにも漫画的な演出や絵が浮いてしまう。今回観たのは、「BLEACH」なのだが、主人公の武器がすでに浮いている。巨大な刀が虚を倒す武器にも、死神と戦い合う武器にも見えず、コスプレのようになってしまっている。これで思ったのだけれど、よく考えればキャプテン・アメリカのシールドだって同じぐらい浮いているべきなんだよな。背景は現代のニューヨークなわけだし。なのに、不思議と違和感を抱かない。もちろん、外国だからというのもあるのだろうが……しかし、本国でもアレぐらいウケているのだから、多分、日本の実写化とは大きく異なるのだろう。一番の原因は原作再現という点ではないかと思っている。

 アメコミは原作とイラストレーターが違うし、そもそもいろんな作者で書かれていることが圧倒的に多い。日本が原作者がいて、話からセリフまで考えて、実際に作画までしている。こうなると、前者は共通されたイメージというものが真ということになるが、後者は創作者のイメージが真ということになる。この違いもあるのか、日本の原作モノ、特に漫画原作は、病的なまでに原作再現が問題視されることが多い。最近はそうでもないが、一時はアニメでも、漫画を忠実になぞり、動画化しただけのようなものがもてはやされていたように記憶している。ちょっとでも違えば、間違っていると指摘され、原作レイプとなるわけだ。

 しかし、媒体が違えば、求められるトーンが違う。尺が違うし、見せ方が違う。文法が違う。だから、本当はコアだけを引き継いで、大きく変えてもいいはずなのだ。最近はそういう潮流にあるのか、僕が観た数少ない実写化映画を参考にすると、以前は漫画をそのまま映画にして、何かのエピソードで無理やり一区切りつけるというものだったのが、最近は原作のエピソードを切り貼りして、2時間尺に再構成し直すという手法がメインになっている気がする。これで構成はそこまでめちゃくちゃではなくなったが、どうしてもキャラクターや衣装、設定が浮いてしまっていると感じる。

 だから、本当はアメコミ映画のように、部分的に原作をモチーフにしていたり、一部の設定が原作に出ているというだけにして、そのまま一本の映画として、新しく脚本を作り直すということが大事なのだろう。本当に面白い作品に仕上げるためには。現状、それができていないのは、どうしてなのか。僕にもわかるようなことは、詳しい人ならもっとわかっているはずなので、きっと、何か事情があるのだろう。脚本家が育ってないなんてことはないだろうし……

 ただ、こうやっていろんな映画を観て思うのは、面白い脚本を書くということ自体が、とてつもなく高いハードルなんだろうなってことだ。あれだけ予算がかかっていて、ベテランが書いた本ですら面白くないことがあるぐらいだ。だから、コンスタントに面白いものが創れる監督や脚本家は世界的に重宝されているのだろう。きっと、本気で面白いものを創ろうと思っていないのか、それができない事情があるか(権力関係とか)なのだと思う。どうなんだろうね。想像することしかできない。

 

 また、この件に関しては他の人の意見を聞いて、なるほどと思うことが多かったのだけれど、これはその前に書いた文章になる。単純に僕が一番最初に感じた意見ということで。参考までに。