瞬発力と持続力

 物事に取り組むために必要な要素は大きく分けて二つあると思っている。瞬発力と持続力だ。前者が高い人は、新しいことを始めるのが早い。すぐにタスクに取り掛かることができ、あらゆることをてきぱきと行うことができる。後者が高い人は、同じことをずっと続けてやることができる。数時間も寝食を忘れてやっていたり、そこまでいかなくとも、一日中同じゲームをプレイできたりする。

 僕は瞬発力は比較的ある方だが、持続力が致命的にない。何かを続けるということができない。たとえば、食事ですら、途中で飽きてしまう。自分でも呆れてしまうのだが、夕食の最中に、まだお腹は減っており、食事も残っているのだが、飽きてしまったという理由で食事を中断してしまったりする。そのせいで、なかなか技術は身に付かないし、物事が完了せず、創作も完成できない。しかし、新しいことはすぐに始められる。あまりハードルを感じないようだ。やらなければならないことも、手すきの際にさっと片づけられる。

 一方、妻は僕の逆だ。新しいことを始めるのに、非常に時間がかかる。日々のタスクを実行するのにも、数時間かかったりする。風呂に入るといった基本的なことでさえ。しかし、一度始めてしまうと、ずっとそれをやり続ける。普段は掃除機掛けや、服をたたむといった基本的なことさえもできないのに、一度掃除をやり始めると、大掃除に匹敵するほど徹底的に綺麗にする。

 こういったことがあったので、僕はそれがトレードオフの性質であると思ってたのだけれど、他の人を見ると、どうやらそうでもないらしい。僕と同じぐらい、手が早い人なのに、妻と同じぐらい、同じことを楽しめる人たちがいる。そういう人こそ、本当の基本的な資質、物事に対する取り組み方における才能があると思っている。そういう人は、どんなジャンルに行っても、いずれは大成するのだろうなと考えている自分がいて、その性質を羨ましく思う。

 僕の考えでは、素晴らしいものを持続的に創り続けることができれば、いずれ世間に見つけられ、表舞台に引きずり出されると思っているからだ。早く売れたいというのであれば、マーケティングというものは大事なのだろうが、いずれ、傑作を創ったり、そのために専業になりたいと考えている人は、ひたすら出力をブラッシュアップすることが大事だと思う。そんな創作物をコンスタントに生み出せる人を、この世の中は放ってなんかおけない。やめないことと、手を抜かないことが大事なのだ。それをするためには、きっと、この瞬発力と持続力が必要なのであって、それをすでに身に着けている人はすごいなと思う。僕も見習わなけば。