それ、そんなに自信持てるだけの面白さがある?

 本当に面白い作品を作ったのに、宣伝が十分ではなくて人に広まらない的な話、本当にそうなのかよと思ってしまう。もちろん、往々にしてそういうケースはあるだろうし、それが広まれば、たとえば、その作者は専業になれて、より良い作品が作れたり、ということはあるだろう。それが悔しいことだと言えば、その通りだ。でも、質の良い作品が売れないということを、作者が嘆くのは違うなぁと思ってしまう。

 たとえば、究極的に面白い作品があったとしたら、絶対に話題になると思いません? そりゃ、身内だけに公開しました、とかではだめだと思うけれど、50部ぐらい刷って、ゲムマなりコミケなりコミティアなりで売りましたとか、Web公開しましたとかなら、絶対に口コミが発生すると思うんですよね。だから、厳密に言えば、その作品は、宣伝が必要なぐらいの面白さなんですよ。もちろん、そこで、宣伝に力を入れるというのは正解の一つで、それで成功した作品は山のようにある。けれど、面白さに力を入れるという方向もあるはずだ。でも、文句を言う作者は大抵、面白いものが正当に評価されないという環境を嘆く、ということが多い。だから、げんなりしてしまう。

 そんなに、愚鈍じゃないよ、受け手は。結局、本当に面白いものは話題になる。実際、たとえば、日陰業界(しかし、実力者は確かにいた)であったエロゲ業界はどうなったのか。本当に力があって、引退をしておらず、定期的に作品を出していた人は、僕が観測する限りでは、皆、一定以上の成功を収めている。そんな有能な人をね、皆はほっとかないんですよ。必要とするところは必ずあるし、追ってくれる人も必ずいるのだから。

 だから、基本的に制作者がやるべきなのは、文句を垂れるのではなくて、完成度をより高めていくか、他の箇所(宣伝とか)に力を入れるかだろう。そんな風に思ってしまう。