縦軸を親密度、横軸を気配りとした時のグラフ

 僕と妻は似たような形質を持つ一方で、真逆とも言える部分も多くあるのだけれど、その中に、人への接し方があるという話になった。

 

 妻の場合、付き合いが薄いほど、扱いが丁寧になる。逆に付き合いが長くなるほど、その人の扱いがぞんざいになるのだ。曰く、付き合いが長い人には、自分の良いところも悪いところも知られているわけだから、多少の粗相があっても、問題ないということらしい。一方、付き合いが短い人にとっては、その僅かな言動が評価対象になるから、その部分に気を使うとのことだ。結果として、彼女はマスコット的なキャラクターだし、それで人生を上手くやり過ごせたりしている。悪く言えば、八方美人的だ。

 

 反して、僕は親しい人ほどに丁寧に、遠い人ほど適当に扱う。これはシンプルな理由からで、僕は遠い人と二度と会わないことを前提にしているからだ。たとえば、仕事の同僚とかも、仕事を辞めてしまえばもう会わないのであって、丁寧に接する必要がないという考え方だ。だから、利己的な行為も辞さない。自分を最優先にする。逆に、長く付き合う人ほど、長期的な利益の供給が受けられるはずなので、丁寧に扱い、一時的な自己利益の損失も許容する。なぜならば、長期的に見れば回収できるはずだからだ。もし、それが無理そうならば、そこで損切りすればいい。まあ、あまりお近づきになりたくないような人間だ。

 

 この両者の差は、他者をどのように見ているか、というところに直結しているのだろう。前者は、評価者として見ている。自分の評価する存在なので、その評価の総体が低くならないようにする戦略を取っている。後者は、供与者として見ている。自分に利益をもたらす存在なので、その利益の総体がなるべく大きくする戦略を取っている。

 正解はないだろうが、どちらの方が多いのだろう。