ハリボテ

 早く恥をかきたいと思っている。早くその程度の人間だということを知らしめなければならない。なんか、昔からどうにも口調が偉そうらしく、あるいは、頭が良さそうに見えるらしく、色々と勘違いされてしまう。周囲の中で、勝手に僕へのハードルが上がってしまうのは困る。そんな大したことを考えていないし、大した能力もない。大したものも生み出せない。だから、早く大したことのないものを生み出して、この程度なんだってことを証明したい。したいのだが……

 どうにも、考えることが好きであるからか、欠点を見つけるのは得意で、それは自身が作ったものにも適応される。すぐに欠点がわかってしまう。大したことがないのがわかってしまう。別に、欠陥品を出そうと思って、欠陥品が出せればいいというわけではない。自分としては、完成していると思っているのに、欠陥品が生まれて、初めて、僕の能力が不足していることが明らかになる。だから、自身でもわかる欠陥をそのままにしておくことはできない。修正は容易ではない。試行錯誤は延々と続く。そして、僕の集中力は切れてしまい、未完成品だけが詰みあがっていく。

 早く、終わらせなければいけない。自我を持ってから、ずっと頭の中にその意識が居座っている。