「チョコレート・ファクトリー」の感想

 かわいい見た目に反して、リソースがカツカツで思ったよりも楽しい気持ちになれないゲームであった。

 ベルトコンベアに機械をくっつけていき、それを動かしてカカオを加工してチョコにする。それを聞くと、エンジンビルドのように思えるが、機械を動かすためにコストが必要で、機械を導入するのは手番にフリーでもらえるという点が珍しい。

 「マスター・オブ・ルネッサンス」の例を挙げるまでもなく、普通、エンジンのパーツを取得するのにコストがかかるが、回すのには燃料を必要としないものだ。こうすることによって、エンジンを組むのは大変だが、回り始めると一気に資源を稼いで終わり、という気持ちの良いゲームを作ることができる。

 このゲームではその逆なので、エンジンはゆっくりと組みあがるし、終盤になってもそれをぶん回すことができないので、すっきりしないのだ。

 また、エンジンを回した結果として、注文カードにこたえる形になるのだが、これがあまり予想できない形となり、毎ターンの理想を追い求めることになる。その割には、ベルトコンベアにチョコが乗るという構造上、前後のターンに結果が波及する。これが良くない。

 燃料を稼ぐ手段はほとんどなく、スタッフカードの効果で直接か間接的に増やすぐらいだ。

 注文をクリアしても、勝利点が増えるだけで、何かで有利になることもない。しかし、チョコレートは2つしか残しておけないので、まとめて生産しておくということもできず、そのラウンドで必要なものを用意する必要がある。

 なんというか、良いところもあるのだが、いろんなところが噛み合っておらず、気持ちの良いプレイができないゲームという感じだ。もちろん、こういうカツカツ、ギスギスなゲームを望む人もいるだろうが、エンジンビルド的なものを期待させる見た目やルールからプレイ感が乖離しすぎている。結果として、評判もさほど良くはない。デザイナーとしては、この形がベストだと思ったのだろうか。少し疑問だ。