「テラフォーミングマーズ」の問題点について

 ずっともにょもにょしていたゲームである「テラフォーミングマーズ」の3回プレイして、ようやくその原因がわかってきたので、メモっておきたいと思う。

 

 まず、細かい計算があり過ぎて、脳が無駄に疲れる。カードのコストが1~36程度であり、そこにカード効果による軽減と、資源1つが2~4価値になるという計算が入る。そのため、21-2=3×6+1だな、みたいな計算を手番ごとに2回ぐらいやらないといけない。しかも、計算したがらない人間がいると、その分まで計算するので余計に多い。小学生の算数ドリルじゃないんだからと思うぐらいで、妙に脳が疲れてしまうし、気力が失せる。

 また、誘発効果が多い。しかも、他人の時まで発動する奴があるから、気が緩められる時間がない。しかし、他人の手番にやることはないし、別に考えることもないから、単純に暇をしている時間が長い。

 さらに、ゲームの終了条件が緩い。ゲームデザイン的に言うと、慣性がない。ゲーム終了に向かっていかなければ延々と終わらないし、現在の点数が明確でないから、勝ち負けにこだわる人たちとやって、彼らが負けていると自覚しているのなら、それが間違いであっても、いつまでも終わらないだろう。そもそも、立場として有利であって、ターンが長引くほど差が開くような形になっている人が優位に立っているのだから、その人たちは自ら終わらせる必要がなく、長引かせてもよくなってしまう。だから、なけなしの資源を払って、わざわざ敗者側がゲームを終わらせなくてはいけないということさえ起こってしまうだろう。

 加えて、直接攻撃のカードの存在意義が薄い。現在の資源を減らすようなものも多いが、その時に一番その資源が多い人が選ばれるようなことが多く、しかし、それはタイミングとしてそうであったというだけだ。「カタン」のように、1位の人の足を引っ張ってバランスをとる、という要素にはなっていない。なぜなら、現在での1位というのがわかりにくいゲームであるし、その攻撃が効果的かもわからない。そもそも、カードの取得がランダムなので、それが出てきた時、適切なタイミングで撃たれた場合の影響が大きすぎる。ただでさえ大きいランダム性が、さらに悪い方へと広がっている。

 あと、細かいようだが、デザインが明確でない点が多すぎる。例えば、僕はどうしてプロジェクトカードに赤いカードが存在するのかがわからない。緑のカードと区別し、タグが参照できないというルールにする必要があったのだろうか。もしそうなら、勝利点の増減など加えなくて、完全に捨て札にするルールであるべきだっただろう。混乱の元になる。さらに言えば、青いカードには、永続でパッシヴ効果を持つものと、1ターンごとのアクション効果を持つものが混ざっていて、これこそ色分けすべきだろう。明らかに区分がおかしい。

 

 以上のような点は明確にゲームデザイン上の欠点であると言える。もし、僕が「テラフォーミングマーズ」をデザインし直すなら、確実に以下のような点を変更する。

・コストの単位はMTGレベルにし、最大でも10程度になるように調整する。

・資材の使用方法を変更し、1カードに1つまでで5コスト軽減といったようなものにするか、資材自体を追加コストにするといった別の計算方法にする。

・ゲームの終了条件は別に設定する。例えば、イベントカードのようなものが1ターンに1度公開され、最大でも15ターンで終了するといったような。グローバルパラメータはあくまでインタラクションやゲームの経過を表現するものとする。

・プロジェクトカードの区分を再編成し、明確化する。おそらく、誘発型のカードは減らし、場合によっては最初は3枚までといったような枠を用意する。

・プロジェクトカードは、動植物系・都市系・エネルギー系……といったようなカードごとにジャンル分けし、裏の模様と色を変更し、山札は別に用意するようにする。そして、各ターンの最初は4枚引いて、2枚選ぶといったように固定型にする。各山札からどのように引くかとか、そういうのはいろいろと調整して、決めるだろう。ただ、どのような路線で行くのかをある程度定められるようにする。場合によっては、時代のようなものを決めて、奥へ行くほど強いが条件が厳しいカードが出てくるようにしてもいいだろう。

 これらの変更は、確実に「テラフォーミングマーズ」らしさを削ぎ、一般的なゲームに近づけてしまうかもしれない。でも、もし、これらの変更点が「テラフォーミングマーズ」らしさ、であるとするのなら、その固有の要素は間違いなく、不必要なもので、不純であり、洗練されていないものだ。僕は、こういう、コアが雑多で整理されておらず、デザイナーの気配りが届いていないゲームを、不完全で未完成であると思う。