「アルティプラーノ」のプレイ感想

 「アルティプラーノ」というゲームがある。BGGでもそれなりに評価されているのだけれど、どちらかと言うと影の薄いゲームとなっていて、同じデザイナーの前作である「オルレアン」の完全日本語版はプレミアがついて久しいのに、こっちの方はむしろ、在庫がだぶついていて、割引で売られているという悲しい存在だ。しかし、やってみると面白かったので、簡単な感想をまとめておきたいと思う。

 まず、バッグドローというメカニズムが良い。それこそ、「オルレアン」をプレイしたことはなく、このメカニズムをメインで扱うゲームを初めてやったのだが、かなり面白かった。デッキ構築の派生としても扱われることも多いメカニズムだが、シャッフルの手間がかからないというのが非常に楽でいい。デッキ構築の場合、シャッフルに時間はかかるし、カードは痛むし、コンボのカードが連続で一緒に出たりすると本当にシャッフルされているのか不安になるし、みたいなことが多々あった。チップをバッグに入れて、そこから引くというのは想像よりもかなり楽で、それ自体に楽しさがあった。

 次に、その引いたチップをプロットするという行為が楽しい。引くこと自体に運はあるし、そのチップを配置させることでしか、アクションは行えないので、選択肢はあまりなく、各ターンがテンポよく進む。しかし、その細かい選択の積み重ねで、最終的な点数には差が開くというバランスが良い。

 最後に、インタラクションが適切だ。同じ頃にやった「エバーデール」なんかは、道化師という相手のカードプレイ枠を埋める邪魔をするカードがあったり、「ドミニオン」なんかでも致命的なダメージを与えられるカードがあったりする。僕自身はあまり妨害のインタラクションも嫌いではないのだけれど、(ウォーゲーム大好きだし)ソロプレイ感の強いゲームなのに、ピンポイントで計算を狂わされるような妨害をされるとイラっとしたりはする。このゲームでは、限られたリソースの取り合い、早いもの勝ちという要素や、ゲームを終わらせるタイミングの読みあいというのがあるぐらいで、基本的には自分のプレイに集中できる。パズル感のあるこのゲームには、これぐらいのインタラクションが良いと思った。

 問題として、一部のリソースが確保できず、そのルートに食い込むことができないという感想を見たことがあるのだけれど、どっちかというと、それはゲームに適した感想ではない。なぜなら、その取得できないリソースは別にとる必要がないのだ。「アグリコラ」みたいにまんべんなくあらゆる種類のリソースを獲得するというゲームではなく、自分の初期リソースから発展できるルートを選び、そこでポイントを稼ぐという、特化型に近いプレイが推奨されているのである。これは、初心者の人が何をやればいいのかわかりやすいという利点もあるし、リプレイ性を高めるという利点もある。

 しかし、バッグドローというメインメカニズムがダントツで面白いという気がしてきている。「オルレアン」の日本語版はプレミアがついているし、評判がとても良い拡張も日本語化されなさそうなので、どちらも英語版を買おうと思っている。再販とか、拡張とかの予定がもっと公開されていればいいのになぁ。