プロメテウス

 この間、雷がかなり近くに落ちた。その時、この音はどうして発生するのかと、妻に聞かれた。そんなことは知らなかったのだが、推察をしてみた。

 空気というのは絶縁体であり、その間を電流が走るだけの電圧が雷が落ちた際にはかかっていることだろう。ジグザグのように見えるが、これはきっと、空気中の水分量などで、抵抗が小さい箇所が異なっており、そこを走っているはずだ。そして、その瞬間、膨大なエネルギーが発生するので、空気は急速に膨張するに違いない。そうなると、破裂音が発生するのではないか。それが雷の音では。そう考えた。

 そして、それを伝えた後に、調べてみたのだが、おおよそ合っていたようだ。

 これこそが、科学の好きなところだ。知っていることの積み重ねで、知らないことを考えることができる。普遍的な事実なので、非常に応用が利くのだ。よく、数学や化学、物理などを、高校を卒業してしまえば使わないという人がいるが、僕からしてみれば本当に驚きであって、大学で学んだ知識ですら、日常生活で使うことがあるというのに。そして、そうすることにより、様々なメリットを享受できる。科学は最高だ。いつも事実を照らし出し、未知すらも推察することができる。この火を持っていない人々が盲人のようにふるまうのも、理解できるというものだ。