無意識の語彙

 文章を書いていると、ぱっと、今の状況や感情を言い表す言葉が思い付く。しかし、口に出してみるとどうにも奇妙な気がする。念のため、検索をするが、ちゃんとヒットする。使い方も問題ないようだ、ということが良くある。無意識の語彙とでも、呼べばいいのだろうか。普段は意識していないし、使うこともないのだが、文章を書いている時だけ、ふらっと思い出せるような語彙だ。

 小~中学生ぐらいの頃は、自称他称読書家、という感じではあったものの、すでにあまり読まなくなってきている。それは、日本人の成人の平均読書量は驚くべき低さなので、それと比べればだいぶマシだろうが、まあ、上を見ればキリがない。暇な時間は全て読書に使っているような人間もざらだ。そういう人と比べると、自分の浅学さに呆れ果ててしまう。

 しかし、それでも太古の読書経験が、そういう語彙を生み出しているのだと思う。妻と話をしていても、彼女が知らない語彙や格言を知っているということが多く、その逆はほとんどない。ファッション用語などでは良くあるけれど。

 そう考えると、異国語を使いこなすために必要な労力に気付き、愕然とする。遅々として進まない英文を、僕が今まで読んできた分だけ読んで、ようやく、普通に読み書きができるというレベルだろう。会話はさらに発音やスラングの問題がある。途方に暮れてしまいそうになる。それでも、数少ない、習得したいことの一つだ。しかし、学習もまた、遅々として進まない……

 仮に、僕が英語話者だとしたら、英語を勉強しないなんてあり得ないと絶対に思うはずだ。そのメリットはあまりにも大きい。どうやって、論文読むの? ゲームだって、英語に対応しているゲームがほとんどじゃない? って思うに違いないのだ。だから、勉強したい。したいのだが、仕事の代わりに英語の勉強してれば給料もらえるようにならないかな?

 英語で、無意識の語彙が生まれるぐらいには、習得できるようになりたいなぁ。これは僕の数少ない願望の一つだ。