時間感覚の消失

 溜まっていた漫画を一気に消化した際、時間の感覚が消失した。僕は時間感覚を失いにくい人間で、今が何時で、何をどれぐらいやっているか、という感覚は常にある方だ。それゆえに、映画やドラマを観ている時や、小説を読んでいる時にも退屈なのかもしれないが。それが今回、久しぶりになくなった。読み終わった時に、今日は平日なのか休日なのか、そもそも朝なのか昼なのか夜なのかさえ、忘れていた。しかし、それは幸福なのではないかとも思った。

 常に這い寄る焦燥感や虚無感は、おそらく、無情な時の刻みが大きな影響を与えている。それを少しでも忘れることができれば、その影から抜け出せているのだろう。

 もう、多く望むことはない。願わくば、この惰性で続いていく人生から、少しばかりの恐怖を取り除いてくれと思うだけだ。だから、熱中できるなのかが必要なのだろう。それを繰り返し消化することで、僕は虚無感から少し距離を保つことができる。そうやって、生きていける。