今の幸せを積み重ねるしかないことに関して

 幸せに生きることしか、意味はないと考えている。

 そして、それは幸せな状態を仮定して、それを目指して努力することを指しているのではない。今、この瞬間を幸福なものとすべきなのだ。

 例えば、なにかの目標を考え、その状態に達することを幸せであると仮定する。それは豪邸に住むことかもしれないし、年収が上がったり、孫が出来たり、絶対的な地位を手に入れることかもしれない。そのために、今は我慢し、ただそこへと突き進む。しかし、その手法には問題がある。その未来になる頃には、自分の考えが変わるかもしれないし、それは案外望んだものでないかもしれないし、環境がそれを許さないかもしれない。そうなった時、犠牲になった過去は報われるのだろうか。それに納得できるだろうか。また、そう言った未来への欲望は、必ず死の危険が伴い、死を想起するものとなってしまう。死が訪れれば、その価値は虚無に帰してしまう。

 そうでなく、今を幸せにしようと努力するとする。今が最も幸福である状態に常に置くと考える。すると、将来的には望むべきでない状態になる可能性がある。牢獄に囚われているかもしれないし、無一文になっているかもしれないし、死んでいるかもしれない。けれど、過去が、その時が幸せであったという事実は変わらないのだ。過去は変えられないのだから、幸せの総量は結果として多くなる。途中で死んだとしても、それは虚無にならない。今、僕という現象が存在していることは間違いなく、その身体的、精神的な状態として、幸福を感じているというのは、間違いないのだから。

 つまり、未来に目を向けてしまえば、それは無になるので、今を少しでも幸福の状態へと向けていくことが大事だとわかったのだ。それは科学的にも正しいとわかっている。人間は現在の状況を前向きに捕らえ、過去の出来事をそれで良かったのだと許容する性質を持っている。これが、人生に対する僕の今の答えだ。