作っていたゲーム

 あるゲームを考えていた。現在は保留にしている。

 発想の元としては、MTGのブースターブリッツを行った時のことだ。これは、MTGのブースターを1つ開封して、3枚4つのデッキに分け、それぞれで対戦するというルールである。これはある程度面白いと思ったが、やはり、壊れている。それもそうで、MTGはブースターブリッツのためにカードをデザインしていないからだ。ならば、ブースターブリッツ用にカードやルールをデザインすれば、ちゃんと面白くなるのでは、と思った。

 

 まず、ブースターブリッツの最大の欠点だと思ったことは、各デッキごとの戦いが運でしかないことだ。ここで、同じくMTGのプレインチェイスが思い浮かんだ。戦場のルールがあるというフォーマットで、それを適応できないかと考えた。つまり、クリーチャーが有利なフィールド、ソーサリーが有利なフィールドなどがそれぞれに存在している。それならば、読み合いが発生するのではないかと考えたのだ。素直に、そのフィールドに有利なデッキを組んだり、それに対応するメタデッキを用意したり、といった具合だ。

 次に、開封の運の要素が強すぎるのを感じた。それに伴って、国内で出ている有名かつ傑作であるTCGボードゲームの「きょうあくなまもの」「Blade Rondo」についての感想が思い浮かんだ。それは、これらのゲームが行き着く先は、『ローリスクローリターンかハイリスクハイリターンの選択』と『引き運』にしかならないのではないかという懸念だ。前者は多くのゲームが内包している構造なので、特に言及しない。後者に関しては、それは、各TCGでも発生するのだが、問題だと思ったのは、あちらが引いたカードを、こちらが引けないという構造だ。これは、デッキやカードプールを共通で使用するという構造から来ている。ある強力なカードがどちらにわたるかという問題が強くなっていないかという、もやもやした気持ちがあった。そのため、ブースターをコピーする、という発想にたどり着いた。クローンのブースターでデッキを組み合うのだ。

 これは、予期せぬ作用を生んだ。読み合いが面白くなったのだ。これはいわば、スタンダードの縮小版だ。スタンダードのカードプールが、そのブースターの15枚しかないTCGで、3つの試合をやって、勝ち負けを競うという形になった。これにより、メタゲームがわかりやすくなった。

 さらに、把握しなければいけないカードの枚数を少なくするという作用も生んだ。他のカードゲームでは、プールにあるカードを全て把握する必要があるが、このゲームでは、手元にあるカードしか使用されない。例えば、10枚なら、10枚だけが今回使用されるのだ。「ドミニオン」のような形だ。

 

 これはいけると思って、プロトタイプを作成し、何度がプレイしてみた。結果としては、予想通りの面白さというぐらいで、期待していた突き抜けた面白さが生まれていなかった。そのため、保留としている。足りないものがあるのだ。

 

 一つは、ゲームプレイ自体が面白さを生む領域に達していなかった。とりあえず、といった形で、「ハースストーン」に少し手を加えたシステムぐらいの簡便さでクリーチャーとその戦闘を実装したのだが、それなら、MTGや「ハースストーン」で良くね、となってしまう。

 もう一つは、結局は、読み合いに終始してしまうということだ。このルールを簡単に公開した際にも指摘されたことではあるが、結局、2人のカードプールが同じということは、その資源は同じなので、その割り振りの問題にしかならないということだ。

 最後に、デッキを組む面白さが低減されてしまっており、メタゲームも思ったほどは面白くならなかった。デッキもプールも枚数が少なく、選択の余地がほとんどない。デッキ枚数が少ないのは結構致命的で、それゆえに、メタゲームを読んでの1枚刺しのような、バリエーションを出すことができない。MTGのようなメタゲームを最小限の形で再現することを目標としていたが、それには遠く及ばぬ、じゃんけんのようになってしまった。

 

 さらにデザインを深めることはできそうなので、とりあえずは塩漬けにしている。いいアイデアがあったら、教えてください。一緒にデザインしましょう。