登場キャラクターの年齢層

 「メギド72」にアルマロスという待望の老年の女性が実装されそうだ。まだ顔見せの段階だが、十分に盛り上がっていて、すでに絵も多くツイッターに投稿されるような状態である。しかし、ソシャゲ全般をみれば、クールな婆で獲得できるキャラというのは圧倒的に少ない。まだおじさんキャラの方が多いくらいだ。FGOでさえ、爺はいるのに、婆はいない。この盛り上がりをみれば、持ち望まれていたという表現が正しいと思えるのに。そこで思ったのだけれど、各作品というのは、なんとなくのルーツのようなものがあって、そこから逸れるキャラクターが実装しにくいせいで、こうなっているのではないかと思った。

 

 前述したFGOを考える。このルーツは簡単で、エロゲーである。このジャンルは少し特殊であって、まあ女性が多いことには多いのだけれど、兄貴と呼ばれるような魅力的なキャラクターや、ヒロインを食うぐらいの人気がある男キャラクターも珍しくない。そうでない場合、男性は友人キャラであったりが多い。その辺の系譜を、FGO(少なくとも最初期)は受け継いでいたように思える。しかし、近年では女性ファンも多くついており、男性キャラクターにも力を入れているように見える。ただし、まだ女性キャラクターの実装の方が優遇されているし、エロゲーの系譜によるキャラクターデザインは色濃く残っている。

 あるいは、アイドルゲーム。これは、実在のアイドルと同じで、異性を強く意識したキャラクターとなっている。片方の性別のキャラクターだけが出てきて、異性のプレイヤーがやるのが基本だ。この場合、アイドルということもあり、年齢層ですら、大きく制限されることになる。パターンは、キャラクター性でということになり、年齢や性別ではない。

 または、ブリコネなどのゲーム。これはおそらく、ハーレムものの系譜であり、少年漫画におけるハーレム漫画や、一部のラノベ、なろうなどの連なりだろう。当然のように、主人公を好いている女性キャラクターしか出てこない。男性の登場は下手したらアイドルゲームよりも少なく、年齢層も狭い。30代すら、とても珍しい状態だろう。

 最後に、艦これやアズレン、刀らぶのようなゲームで、これはキャラクター化の系譜で、そういえば、片方だけの性別である。どうしてそうなのか。萌え○○的な影響化なのかもしれない。

 

 要は、ここまで紹介した作品では、片方の性別へのアプローチというのが強くとらえられていて、それゆえに性別や年齢もかなり制限されるということが言いたかった。このような環境では、婆キャラというのは出しにくく、精神的には歳を取っているという形を取ったり、そう揶揄されるが実際には三十代手前というぐらいだろう。だからこそ、需要と供給のバランスが崩れ、待ち望まれていたのだと思う。

 では、なぜメギドには登場したのかというと、メギドは少年漫画、そしてそこから連なるJRPGの系譜だからだと思う。いつメンを考えてもらえばわかるが、女性の方が少ない。これは、前述した系譜ではありえないことだと思う。このバランスは、少年漫画のそれに近い。もちろん、メギドは元々、かなり男性プレイヤーをターゲットにしていて、それゆえに女性キャラの方が実装量が多いのだが、シナリオなどを見ると、王道RPGの毛色がかなり強いのがわかる。少年漫画は、性別や年齢層のバリエーションを持たせやすい。例えば、人気のある婆キャラが出ている作品に、「天空の城ラピュタ」があるが、あれも少年漫画、というか冒険小説の流れを汲んでいるだろう。あれに近い。だから、婆キャラを出せたし、念願の、となるのだろう。

 

 ソシャゲを創ろうとした場合、基本的にはリソースが限られている以上、特化した方が強い。僕だって、プロデューサーだとしたら、女性向けか男性向けかを強く意識して、特化することだろう。しかし、それは皆が考える当たり前の戦術なのだ。結果として、目新しさはなく、レッドオーシャンに飛び込むことになり、瞬間的にサ終になってしまう。全年齢・性別向けとなると、モンストのような雰囲気でコロプラみたいな大手が出すけれど、それはその性質ゆえに、ゲーム性に乏しい。そして、これもまた、多く出ているジャンルでもある。

 結果として、メギドのような、全年齢(本当に?[要出典])・性別がプレイしていても精神的な障壁がなく、しかし、ゲームとしての面白さがしっかりとしているというゲームは少なかったのではないかと思う。だから、多様性(まあ、メギドの場合はこれをテーマに含めて、重視したという点も非常に大きいのだけれど)のあるキャラクターを求めるプレイヤーが集まることになったのではないか。そして、それゆえに、他のゲームでは勝算のない属性のキャラクターが、逆に目玉として実装されるのではないか、そう考えた。

 実はアルマロスのセリフから、爺キャラの実装まで見込まれていることがわかる。(しかも、おそらく追放メギドであり、バラムの把握力がどんどん疑問視されていく……)今後も、そういう、需要はあるが、供給ができなかったキャラクターをどんどん出していって、それに釣られた新規プレイヤーたちがメギドの面白さに気付いてくれれればいいな。メギドの行く先に幸あれ。