RPGの敵に関して

 RPGのデザインというのは難しいと思っている。なぜかというと、最終的な指標がダメージ量だけに換算しやすいからだ。

 もちろん、状態異常なんかがあるゲームも多いのだけれど、この扱いはそもそも難しい。即死のように強すぎるものは、ほとんどの敵が態勢を持つので意味がないし、弱すぎるものは、かけても意味がないので使われない。まあ、ほとんどのゲーム要素が、そういうちょうど良い塩梅を必要とするものなのだけれど、状態異常はかなり難しい方だと思っている。だから、「世界樹の迷宮」みたいに、2回目以降はかかりにくくなるとか、独特の仕様が必要とされ、それがないゲームは空気になりがちなのだろう。だから、そういう絡め手はあまり有効でないゲームの方が多い。そうなると、RPGは1ターンでも早く相手を倒せるのが強いゲームなのだから、ひたすらダメージ量だけが求められがちだ。これをどう抑えるかが難しい。最終的に一つの数値に収束するのなら、絶対的な上位互換が生まれやすくなってしまう。それは、多様性をなくさせ、ゲーム体験を画一化させ、面白くなくしてしまう。

 では、どうするべきか。

 まず一つは、「メギド72」のように、ランダム性を持たせて、ハイリスク・ハイリターンと、ローリスク・ローリターンのパーティのようなものを創ることだろう。運が良ければかなり強いが、悪いと全然ダメージが出ない、というような。

 もう一つは、これも「メギド72」のように、パズル性の高い敵を出すことだろう。ギミックと言ってもいいかもしれない。特定の状況に弱いように敵をデザインし、いつもと違うパーティを組むように促すのだ。余談だが、「メギド72」はそれが非常に上手い。何が素晴らしいかというと、大抵、正答とは別に、数個の別回答も用意している点だ。あるパーティだけが正答であり、それでしか倒せないのであれば、それはただの組み合わせの検査となってしまう。しかし、別の手法でも相手になるように作るのであれば、試行錯誤が正当化されることになる。このバランスもまた、難しいものだ。

 大きく分けると、この2種類であると思う。

 

 なんでこんなことを考えたのかというと、この間やった「Aeon's End」の場合、敵が何であろうとも、自分はランダムに決められたサプライの中から最大ダメージを出す組み合わせを考えるだけだな、と思ったからだった。メギドのように、敵に合わせる、ということはしなった。敵がAでもBでも、僕は同じ行動をとっただろう。それはどうしてかと考えたのだけれど、このゲームではカードサプライ、つまり他のRPGにおけるスキルセットやパーティのようなものがランダムに決まる。それで敵を倒すので、むしろ、敵によって適不適が大きすぎると、それはただの初期状態の運試しとなってしまう。これでは意味がないので、結局、味方側のランダムさであるサプライ群と、敵側の能力というのは、距離があるものでなくてはならないのだ。

 うーん、やっぱり、ゲームのデザインというのはままならない部分や未知の部分が多くて、興味をそそられる。科学の研究などより、機械的でないように思えているのだと思う。それを知りたいと思ってしまうんだよなぁ。