シナリオはカジュアルさを生む

 僕は以前から、カジュアルさを持ったTCGが必要だと常々思っていた。一般的にTCGは大会へ出て、そこで良い成績を取るのが最終的な到達点という流れがある。eスポーツ化してきているDCGにおいてもそうだろう。しかし、実際にはもっとカジュアルな層が大半を占めている。彼らは、対戦相手やデッキ作成方法が豊富で安価なDCGでこそ、コピーデッキを組むだろうが、アナログであればある程度適当にデッキを組み、友人と回したりするだけだろう。小中学生のほとんどもこう言った遊びであるはずだ。しかし、実はそのカジュアルさの加減は難しい。なぜならば、上を目指すのは簡単だからだ。デッキにあった強いカードを使えば良い。プロが組んだデッキを真似すれば良い。相手が強くなってしまえば、自分も強くなるしか遊ぶ方法がないわけで、軍拡は自然と行われてしまうのだ。

 その対策の一つは、LCGやボードゲームといったカードプールが限られるカードゲームだ。しかし、これもプレイリングの問題が出てくる。むしろ、カードが同じであるだけ、より上手い人間が確実に勝ってしまう。

 ここで考えたのは、カードゲームにシナリオ要素を入れることだ。貴方はRPGをやったことがあるだろうか。やったことがある人間なら一度はあると思うのだが、好きなキャラクターがあまり強くなくともパーティに入れていなかっただろうか。あるいは、ある敵に因縁を持ったキャラクターで止めをさせるように調整したり、むかつく敵を必要以上の方法で痛め付けて倒したり、裏切るとわかっている味方を2周目では戦闘不能でもそのままにしたり。つまり、シナリオは合理的でない判断を是とする理由になるのだ。そうしたいから、そうする。それは、合理性や勝敗を重視するガチとは逆の方向性であり、カジュアルなのだ。

 実際に、僕は「サイズ 大鎌戦役」の拡張である「フェンリス襲来」で本来の点数を高めていくよりも、シナリオ的に面白そうな行動を重視する人たちを観てきたし、実際、自分もそうしていた。

 だから、僕はTCGにシナリオが必要だと思ったのだ。シナリオの分岐も入れれば、リプレイ性も高くなるだろう。コンポーネントとしても、カードの束は安い部類なので、比較的実現性がある。しばらくは、これを妄想のネタにしようと思っている。