感想の感想

petronius.hatenablog.com

 上記の感想の感想。

 

 瀬戸口廉也評としては、かなり一致していた。彼の作品を追っている人ならば、わかると思うのだけれど、彼は延々と人類は皆死に、世界に価値はないが、美しく感じる瞬間があるということを訴えている。それしか訴えていないと言ってもよい。彼の作品の主人公がほとんど同一に感じられるのも、このせいかもしれない。もちろん、差異はあるのだけれど、根底的な視点が、それはおそらく、瀬戸口の視点であり、瀬戸口節と呼ばれる所以であるのだけれど、とても強く、作品ごとの差異を凌駕してしまうのだ。それが特筆すべき文章力で伝えられているので、この辺にフックがある人はただちにノックアウトされてしまう。ゆえに僕は、彼が特別な才能を持っているのは間違いないが、表現の人であると思っている。

 

 一方で、上記の感想でもにょったのは、対馬馨が音楽をいつも選び、それが残酷な世界で、好きなものを見返りなく追及しているクンフーであると言っている部分。本当に、そうですかね? 例えば、弥子ルートなどは、明確に音楽を捨てている。もちろん、趣味的に音楽を続けていくのかもしれない。けれど、それは明言されていないし、音楽に強い執着を持っているというエンドでなかったと記憶している。そもそも、音楽に価値があり、そのために偏執的な活動をしているのかというと、疑問が残るのではないか。三日月ルートにおいて、主人公は彼女のために簡単に音楽を手放してしまう。輪ルートであっても、あの後にどうなっているのかは明言されていない。かのルートでも、純粋に音楽に価値があるから、それを続けると覚悟し、月を見上げるエンディングだとは思えないんですよね。その理解はバイアスがかかってしまっているように思える。もちろん、僕の読みが浅かったり、記憶違いしている可能性もありますが。

 

 僕が思うのは、彼らのように、作品をちゃんと時代性の文脈で読んでいると、それでわかることも多いのだけれど、逆に言えばバイアスをかけてしまっていることもあるのではないのかということだ。本質を取り違えて、大きな文脈の一部となしてしまうことで、本来訴えていたことを見逃してしまっているのではないかと思うことがある。

 

 また、自分が、人間が必ず死んでしまって、この世界が無価値ということに直視している人は珍しく、『見て見ぬふりをする』か『そもそも気付かない』かと言っているが、そんなこともないような気もする。大小はあれど、皆思っていることでは。しかし、『それを言ってはおしまいということになっているから、まともな人は言わない』ということになっているのだと思う。ただ、『僕は言ってしまう』という人がいる。それは、きっと、その恐怖を、不条理を感じられるかという違いなのではないかと、最近の僕は思っている。知っている人は、見ている人はいるのだ。ただ、本当のものとして感じないらしい。彼らと話していても、まるでそれが他人事のようにしか語らないので。だって、この現代社会で生きていて、幽霊のようなものが、神のようなものが、輪廻転生のようなものが、信じられますか? 死なんてものは、ただのありふれた現象でしかなくて、唐突に訪れるものですよ。それは当たり前の物理現象でしかない。物理的な死というのは、ただの死で、本当の死ですよ。精神的な死とか、霊魂的な死なんてものはないので。精神というのは、しょせん、物理現象でしかなく。それがわかりきっていて、死が絶対的なものになっているのが、現在という時代だ。

 そんな現代で、どうして僕たちは当たり前のように社会を維持しているのか、本当に僕は理解ができない。感情として、本能として、安定を求め、社会を維持するのは理解できるのだが、理性的に、理論的にいれば、理解できない。そう、これは後で別項でまとめようと思うのだけれど、どうやらこの部分の感覚が僕は他の人と結構違うようだ。本能に従えば、DNAに従えば、家族を持ち、愛を知り、社会に奉じ、神を信じるのだ。しかし、人間が人間である所以の理性に従えば、理論的に考えれば、それはおかしい。結局、全ては無価値なので、何をしてもよいし、自分が我慢する必要なんて全くない。社会を崩壊させるべきだし、自殺すべきだ。理性に従えば。感情に任せているから、僕たちは社会の一部として活動している。愛を知る全人類となる。ここの感じが皆、認識がずれていて、気持ちが悪い。我が子をかわいいと思う気持ちは、排せつ欲求と何が違うのだろう。ムカつくやつをぶっ飛ばしたいという暴力欲求と何が違うのだろう。僕にとって、それは同じく生存に有利であるがゆえに本能に組み込まれた機構であるように感じる。その違いが、僕にはわからない。排せつも暴力も親子愛も同じだ。本能的で、理性的でなく、動物的な野獣性だ。話があほのように脱線している。本当にこのブログはごみだな。ただ思いついたことをつらつらと取り留めなく書いているだけだ。昨日、眠れなかったから、寝不足の、何の理性もない文章が連なっている。どうして、僕はこんなことを続けているのだろうか。