執念

 ラブコメというか、青春の恋愛みたいな、そのむず痒さみたいなものを楽しめていないのだということがわかった。そう、恋愛モノ全てが苦手というわけではないのだ。好きな作品も「青春のアフター」や「やがて君になる」、「あの娘にキスと白百合を」など、枚挙にいとまがない。で、そこに何の差があるのかと考えた。別に主人公の年齢とか、性別とか、そういうのではなかった。というより、僕は恋愛というより、執着を好んでいるということが分かった。

 論理的な死に打ち勝つ方法の一つとして、僕は執着というものを重視しているようなのだ。正負どちらの執着心であっても、それは論理的なものを打ち勝つ理由になると思っている。論理的にこうですよ、と言われても、主観的に執着があれば、全てがそれに勝ることができる。正当化される。虚無に打ち勝つのではないかと思っている。ライバル関係とか、ヤンデレとか、そういうのが好きなのも、きっとここに集約するのだろう。強い感情を羨ましがっているのだ。

 そういう楔を、対象が人間でなく趣味だとしても、いくつも埋め込むことで、人は生きていけるようになるのだろう。この世界が空をつかむような、無意味なものだとしても。そういうものを、僕も探している。