感性の問題

 悪癖だと理解はしているのだが、本当にすごい傑作をそうだと感じられていない人間がいると、その人が言う面白い/面白くないを一切信用しなくなるという現象が発生する。例えば、僕は「コンスタンティン」が好きだけれど、これは傑作でないことは十分に理解している。逆に、「この世界の片隅に」は全然面白くなかったけれど、傑作であることは十分に理解している。僕が好きなものを好きではない、というだけならば、それは趣向の違いなので全然問題ないのだが、傑作であるものを傑作でないというのなら、感性がおかしいと感じられて、その人の感性から来る発言が一切信じられなくなるのだと思う。

 例えば、「マッドマックス 怒りのデスロード」を駄作だと言い切ったり、「十三機兵防衛圏」がつまらないと言ったり、そういうことってあり得ます? 人間の感性をしていたら、あり得ないと思うんですよね。不可能というのに近い。盲目であるとか、言語が読めないとか、そういうのではない限り。そういうレベルの作品が駄目だと言っていると、一気に、ああ、この人の意見は意味のないものなのだな、感性が狂っているのだから、と思ってしまうのだ。

 これ、今までごく当たり前のことだと思っていたのだけれど、文字に起こすと僕の方が狂っているように感じるな……