「ブラス:バーミンガム」の感想

 いわゆる白ブラス、「ブラス:バーミンガム」をプレイした。旧「ブラス」やそのリメイクである「ブラス:ランカシャー」はまだプレイしていないせいかもしれないが、ここ最近でかなり面白く感じた。翌日に再プレイしたほどだ。ここまで面白いと思うことは珍しかったので、感想をまとめようと思う。

 

 まず、インタラクションが適切だ。ブラスでは建物を建て、その際に産出される資材が使用されたり、売却というアクションを行ったりすることで、点数化するという流れが基本のアクションとなる。そのために、建築のアクションを手番では主に行うのだが、その際には資材を使用するようになっている。石炭、鉄鋼、ビールという3種類の資材があり、それぞれ使用できる条件が異なる。まず、石炭は、資材と使用先がネットワークで繋がっていないといけない。鉄鋼はどこからでも持ってこれる。ビールは自分が産出したものなら鉄鋼と同じで自由だが、相手のものはネットワークでつないでいる必要がある。これが面白い駆け引きを生むのだ。相手の計算を崩すために、相手の資材を使うと、相手の建物が得点化され、最終的な点数は増えることになる。それでも、使っていくことが必要になる。逆に、相手の動向を考え、供給を生み出したり、相手には絶対に使われないように、ビールを遠いところに置いたりする。その、自分で組み立てる資材のパズルと、それに干渉する相手というのが、とてもちょうど良い。これ以上邪魔されるといやになってしまうだろうし、これより弱いとソロプレイに近くなる。そんな、絶妙なバランスだ。

 また、売却というアクションのデザインが良い。自分の建物を、必要なビールを消費して裏返しにするアクションなのだが、この時に複数の建物を同時に売却することができるのだ。他のアクションは、基本的にまとめてできるということはなく、1アクションの差は相手と大差がつかないのだが、ここで上手く動くと差が生まれるようになる。これは、「サイズ 大鎌戦役」におけるA/Bアクションにも近い働きがあって、どうやって効率の良いプレイをしようかと考える足掛かりにもなっている。

 そして、中間決済のシステムの素晴らしさ。このゲームでは、時代が変わる瞬間、つまりゲームが半分を過ぎた時に中間決済が入る。この時点で建物やネットワークの点数が加味され、そして、レベルの低い建物と全てのネットワークが破壊されるのだ。更地に近い状態から始めるのである。これがあることで、逆転の幅が広がっているし、高いレベルの建物を無理して建てる動機(前半と後半で2回カウントされるので、点数が2倍になる)が生まれる。早取りのような要素になっているのだ。また、前半の反省を生かして、後半に臨むことができる。「ブラス:ランカシャー」では、この切り替わりで定石となっている動きがあるらしいのだが、こちらではバランス調整がされているらしい。

 

 長いゲームではあるし、考えることも多いのだが、それがストレスになりにくいようになっている。気付くと時間が過ぎているような、そんなゲームだ。BGGで4位を取り、平均スコアから2位、3位を狙えるゲームであるのは、過大評価ではない。少なくとも、「テラフォーミングマーズ」よりは圧倒的に面白いし、疲れないので、こちらをオススメする。2人でも十分に面白い。ベストは3~4人らしいのだが。