「ティーフェンタールの酒場」の感想

 とりあえず、基本セットのみの感想を。

 よくできている。よくできているが、選択の重要性をあまり感じない。このゲームは、「ブルゴーニュの城」にダイスドラフトを加え、デッキ構築とバースト要素を持たせたようなゲームだ。確かに、出てきたダイス目に左右されながら、ドラフトをして、デッキを構築してというのは面白いのだが、なんだかやらされている感がある。

 

 まず一つは、出目によってできることが少ないこと。初期状態ではダイスがプロットできる場所が少なく、制限も強いのだ。例えば、3や4の出目は何でも置ける場所にしか置けない。もちろん、これは他の出目が出た時や、プロットできる場所を増やした時に嬉しいと思われる効果があるが、それ以上に、出てしまった、ピックしてきた出目で置ける場所に自動で置かれてしまうように感じる。

 次に、その後のアクションのバリエーションも少ない。このゲームにおいて、リソースはコインとビールの2種類があり、それを上手く使っていく必要があるのだが、あまり選択肢はない。両者のリソースの買える上限のものを買っておくか、という感じで、A戦略やB戦略という感じでもない。好みで微妙な差は出るだろうが、単純に高いものの方が強いわけだし、せっかくそこまで出力が出たのだから、それで買えるものを買うかという感じ。

 最後は、デッキ構築なのに、それを発揮するまでの間隔が短い。これは、デザイナーも意識していて、そのためにマリガン券のようなものが得られる。これを使用すると、今まで出てきたのはリセットされ、もう一度、引き直すことができる。それはいい実装だし、参考にしようと思ったのだが、それにしても手番が少ない。8ラウンドしかなくて、最初の2ラウンドは実質初期デッキだ。そう考えると、3~5ラウンド目は初期デッキに毛が生えたようなものだし、逆に7・8ラウンドで獲得したカードは、実質的にほとんど得点でしかない。こうなると、自分のデッキが活躍することがほとんどないのだ。これは、初期デッキのカードを除去できず、圧縮できないからという点もある。もちろん、バースト(特定のカードが所定の枚数になるまで引く)システムを使用しているため、自由度があり過ぎると、万能な状態になりやすいというのは理解できるのだが……

 

 これらは基本セットの感想なので、同梱されている拡張で、これらの不満がなくなる可能性は大いにある。大いにあるのだが、ルールを聞いて予想される面白さよりも、実プレイの面白さが勝らなかったのは、正直に言って残念だった。