「The Castles of Burgundy」の感想

 傑作と名高いダイスゲームだが、評判に負けない面白さだった。

 

 基本的には振ったダイスの出目に従って、タイルを自分のボードに置くということを繰り返す。これにより、得点が手に入り、その点が高い人が勝ちだ。その中で、ある領域を早く埋めるだとか、同じ要素のタイルを埋めていきたいだとか、そういう思惑がある。また、タイルを取る時と、タイルを置く時でダイスを使用し、その出目が大事になってくるので、それを上手く制御する必要がある。最終的には運になるが、それだけではなく、リスクマネジメントが結果に表れる傑作だ。

 

 まず、運の要素が高いが、振り回されている感が程々というのが良い。どうしようもないじゃん、みたいな状況になることもあるのだが、使わない出目のダイスはパスに回すことで、次からのダイス目を操作することができるリソースを得られるという点が大きい。これにより、もし、ダイス目が悪かったとしても、さっき、ダイス目操作をしたせいで、リソースが枯渇しているせいだとなり、ある程度納得して、そのリソースを増やす。これにより、失敗は過去の反映、失敗は未来への投資という印象が強まり、ストレスになりにくい。また、そもそも、必要な出目が偏るようにした自分が悪いというようにもなる。基本的には完全にランダムなのだが、それを操作する余地があるという点がとてもよくできているのだ。

 インタラクションも適切だ。タイルの取り合いという要素があるものの、自分の領域に対して、妨害を行ってくることはない。これは非常に大事だと思っている。人間の本能として、共通の場で鍔迫り合いが発生するのはしょうがないと思えるが、自分のところにまで障害が発生すると強いストレスを産む。戦争の場と内政の場を上手く切り分けていることが、楽しいゲームの特徴ともいえる。

 また、最終的に出来上がるのが、自分の領地というのも達成感が生じやすいだろう。「アグリコラ」のように、その出来がそのまま点数になるわけでもなく、それゆえに下手な手を打っても、それなりのボードが出来上がる。「アグリコラ」だと、下手をしたボードというのは、それだけ寂しさを感じる盤面になってしまう。それがないため、ゲームに負けても楽しいという思い出を残すことができるだろう。

 

 盤面には言語依存性がなく、日本語のルールもBGGで公開されているため、非常にやりやすいゲームだ。米アマゾンでは安価に手に入るし、輸入する機会があれば、ぜひ遊んでみてもらいたい作品だと言える。学ぶことがいっぱいある。