思考未満未満

 自主性が強いと言えば聞こえはいいが、率直に言えば、我が儘だというだけだ。昔から、気にくわないことからは逃げ続けてきた人生だった。正面から逃げ切れば、それも道になったことだろう。反抗すれば、そういう意気もついただろう。しかし、僕がやってきたのは、一見恭順に見えて、サボるということばかりで。中途半端で意味のないことだ。きっと、面倒だったのだろう。他人の言うことをそのまま訊く気にはなれないが、わざわざそれと対峙するだけの価値を感じられない。無気力だった。流れに任せていたから、意志に関係なく、社会に参画することになってしまった。死ぬという強い意志がなければ、死ぬことができないように。

 それは、よくなかったのだと、今ならわかる。嫌なことは嫌だと言うべきだった。しかし、実際にやってみた経験がなければ、こんなしんどい経験をするぐたいだったら、言うことを訊くべきだったと後悔したのだろうな。だから、別に失敗することは問題ない。反省し、自身の選択を考え直すことが出来るのなら。

 10年後から10年遡ったと思え、今日死ぬと思え、成功者が口にする文句だ。彼らはそれによって、今日という日を奮起させ、仕事に向かっていくのだという。ナンセンスだ。僕にとって、それらはただ、社会から遠ざける理由を創るためだけの仮定となってしまうよ。それでいいのだろうか。