罪と罰

 無期懲役になりたい加害者が万歳三唱をしたとかで、いろんな人が意見を述べていたが、ほとんどはナンセンスで意味がなかった。


 まず、感情で刑罰を決めることの問題点に触れられていない。次に、死刑を望む場合には、どうすればいいのかすら考えられていない。最後に、刑罰がどのような意味を持ち、今後、どうあるべきかを想像できていない。
 刑罰は加害者の望みにも、国民の感情にも、無関係であることがわかっていない人間が多すぎる。無知無知の実を食べた無知無知人間じゃないんだから、ちゃんと調べて考えようね。
 そもそも、刑罰を処罰や更生のためとみた場合、その基準は平均的な国民が仮定されている。精神状態(=脳を中心とした遺伝も含めた肉体の状態)が正常でない場合や、人間関係や財産があまりにも脆弱である人間のことを考えていない。だから、毎年のように死ぬために大量殺人をしたり、刑務所に入るために軽犯罪を犯すホームレスがいる。そんなの、発生するに決まっているじゃないか。合理的に考えたらそうなるのは、小学生だって理解できる。どうやって、それを止めるのか。

 究極的には、社会制度の充実と治療、排除しかないだろう。そもそも、犯罪者になることがメリットにならないような満ちた社会になるべきだし、そうでなければ凶悪犯は生まれ続ける。犯罪者には治療を施し、正しい認知能力を得られるようにする必要がある。しかし、どうしようもない人間も存在するだろう。遺伝や不可逆的な変化により、社会に害をなす人は存在しうる。僕はそうすべきではない(その判断が理論的にできないはずだから)と思うが、ほとんどの人はそれを排除すべきだと思うことだろう。

 政治でもなんでもそうなのだが、論理的に考えるという視点が欠落している人間が多すぎるのは、どうしてなのだろう。相手の立場に立ち、その損得を考えれば、行動原理が理解できるはずなのに。そんなんじゃ、インタラクションの多いゲームで高得点目指せないよ。