何かを書こうと思い付いて、文章まで何となく考えていたのに忘れてしまった。これは別に昨日今日始まってのことではなくて、僕が物心ついた時からそんなことが起こっていた。
よく、想像で話を創って遊んでいた。それも、数時間もすれば忘れてしまって、思い出すところから毎回始まっていた。思い出すことすら出来なかったことも山ほどある。パソコンを買ってからというものの、メモする習慣を付けたのだが、パソコンの前に座っている時に思い付くことはほとんどなくて、授業中とか移動中とか、他に出来ることがない時に、退屈だから妄想するのであって、それがメモ出来る環境になる頃には忘れていた。そうでなくとも、ストーリーや文章を思い付いた先から書き留めていくことは不可能であって、その記録の速度に忘却の速度が追いつかなかった。
いつもそんなことを繰り返している気がする。大事なことを思い出したり、面白いことを思い付いたりしても、それが明確な形になる前に、掌で崩れてしまう。指の間から零れていってしまう。そうやって、残ったカケラを必死に握りしめても、もはや何の意味もないというのに。そんなことばかりだ。
