定義語に関して

 特にジャンル名とかの話なんだけれども。セカイ系とか、新本格とか、ラノベとか、なんかそういう単語に妙にうるさい人たちがいる。別にどうでも良くないか? というのが僕の意見だ。確かに、こう言った単語はよく批判であるとか、自身を誇示するための批評じみた虚言とかに使われることとかが多いけれど、だからと言って、それを使っている人々をあまり気にする必要ないような……と思ってよく使ってしまう。

 こういった言葉は、厳密に定義づけが出来るようなものじゃない。定義づけが好きな人たちにとっては残念なことだけれど、どこからどこまでがラノベなのかなんて、定義すること自体がそもそも無理なのだ。現実の生物の分類の知識なんかある人はわかると思うが、どこからどこまでが亜種で、どこからが別種かなんていうのは、ただの人間の便宜を鑑みた定義でしかない。ジャンル論だって、それと同じだ。でも、それでいいじゃないか。本当に厳密性を持たせられるのは、そのために生まれて来た定義語ぐらいで、実在しないも同然だ。言語は人々のやり取りの中だけで意味を持つのだから、そこに誤謬が生まれない限りは、つまり一般的な会話の中で登場する分には必要十分だし、忌避すべき理由がないと思う。その定義の境界が本当に大事という議論をすると言うのなら、それはきっとナンセンスな題材を選んでいる可能性が高い。その集団でしか意味をなさない定義を造り、自己満足に陥るだけだと思うから。

 便利だと思う範囲で使うだけ使えばいいのだろう。言語なんて、その程度の価値しかない。