群集劇に関して

 あ、群像劇のことです。グランドホテル方式と言っても良い。僕はよく群集劇と呼んでいたのだけれど、群像劇が一番一般的なのかな。群像劇ってなにかニュアンスがある気がして、それがない群集劇の方を僕は使っていた。まあ、主人公の視点をメインに置くのではなく、主人公を複数にしたり、多人数の視点を使うあれです。

 最近、割と流行りが来ていて、レベルも上がっていると思うんですよね。多いと感じているのは、「アベンジャーズ/エンドゲーム」なんかは極値なんだけれど、単数の作品をやった後に、オールスター的に群集劇にするタイプ。「メギド72」の6章なんかもこれに属すると思う。なんで多くなっているかと言うと、物語になれた現代人にとっても斬新かつ複雑でありながら王道な物語を届けることが出来るからだと思っている。

 なんでかと言うと、単純にめちゃくちゃ難しいんですよね、これ。普通の物語って結構ノウハウも理論もしっかりしてきていて、シンプルに面白くするのは割と簡単なんですよ。テンプレがある。でも、ストーリーラインが複数になっただけで途端に難しくなる。だから、数が少ないし、観客も先が読みにくくなっていく。また、最近の人って僕も含めて飽きっぽい。短い時間に情報が詰まっていることになれている。こういう人にとって、一つの視点ばかり見せられるよりも、飽きる前に他の視点にコロコロ変わっていく方が楽しいんですよね。もちろん、これは欠点があって、それぞれの人物や物語への興味が薄れがちになる。けれど、それに対して、単作や前作によって、それぞれの人物の物語を先にやっておくと、すでに愛着がわいているから、そのカバーが出来る。あと、チーム分けするとか、物語を進めるための鍵なんかを分担して処理していくのもテクニックですね。それが確立してきた感が最近ある。

 物語はどんどん進化していくのだろうな。それを観ていられるというのは、僕が生きている理由の大きなものの一つだ。