夢に関して

 夢の意味を知っているだろうか。厳密に言えば、まだわかっていないことも多いのだが、通説としては、記憶の整理を行っていると言われている。

 いわば、夢というのは副産物なのだ。火をおこした結果、煙が立つことに対する煙であるということだ。また、夢の中では、非常に強い感情が起こり、特に負の感情を抱く可能性が高いことはわかっている。これから導き出された仮説が面白かった。

 なんと、悪夢というのは、記憶を補強するために感情回路を利用するために起きているというのだ。まず、人間の記憶は、感情が伴うことによって長期保存されるようになっている。見覚えがあるだろう。特に嫌な感情はより、記憶を長持ちさせる。したがって、記憶の整理の際に、大事だと判断された記憶を強く刻み込むために、感情回路に電子信号を送っているというのだ。これは非常に説得力のある仮説だ。いくつかの謎に理由を付けることができる。

 脳は基本的な機能を意図的にオフに出来ない。息を止めたいと思っても、肺が息を求めるように。だから、記憶の強化には、強い感情を使うのだ。僕は納得した。この世界があまりにもつまらなく、夢だけが面白いと考え、一日中寝ていた時期があったのだが、それにはこんな理由があったのだ。夢では、理性が抑制され、感情が強調される。まるで、僕にあつらえ向きな世界ではないか。